ストラスブールの人気ワインイベント
このワイン展示会は、他都市でも開催されている消費者向けBTOCのイベントだ。
フランスだけではなく、隣国スイスやドイツからの来場者も多く、ストラスブールではとても人気がある。特に土日は人が多く、ゆっくり見て周っている時間はないかもしれない。
多くの来場者は、既に自分の好きなワイナリーが決まっているのか、各ワイナリーのスタンドに行くとそこにいる方に
「ここのワインは美味しいよ」
と言ってもらうことが多かった。
もちろん、新しいワインを探すのも良いが、年に一度、こうして自分の好きなワイナリーのワインを大量購入する人達が多いのかもれない。
会場はこちら
金曜~月曜まで開催されているが、BTOCのイベントという事で土日はすごい人だ。ねらい目は金曜の午前~午後、それと月曜も結構すいている。
あまりにも多くのワイナリーの出展で、カタログも販売されている。地方によって看板の色が異なるので、好きな産地が分かっている時には便利。
出展ワインをご紹介
今回もアルザスワインを中心に面白いワインを紹介していきたい。
先ずはこちらDomaine Armand Gilg Vigneron
こちらはミュスカのスパークリング。クレマンダルザスとは違い、品種の違いのせいか香がフルーテイで、口当たりは辛口仕上げ。
そしてこちらは通常のミュスカワイン。どちらもフルーティででも辛口で口当たり良いワインだった。
アルザスのミュスカは特徴的で、香はフルーティなのだが、辛口仕上げで他の地方とは異なる。通常のミュスカのイメージのため、アルザスでは「販売が一番難しい」品種のワインだとも言われている。私はお土産にワインを持って行く時、相手の好みが分からない場合は香がフルーテイで甘口なのかと思わせながらも飲むとスッキリ辛口なこのミュスカを持って行くことが多い。
また、ミュスカは白アスパラガスと合うと言われており、私の中では初春のイメージの爽やかなワインだ。日本でもあまり知られていない品種かもしれないが、私はおススメの品種でもある。
こちらのワイナリーは、ジャムの妖精と言われる有名なフェルベールさんのジャム屋さんのある村のワイナリー、Domaine de l’Oriel。この村にはフェルベールさんを訪れるために多くの日本人の方が訪れるのだが、せっかくなのでアルザスワインも楽しんでもらえればとも思う。が、ワイナリー訪問はなく、ジャム屋さんにだけ行き、この村を離れる人も少なくないそうだ。
せっかくこの村まで来たのなら、有名ワイナリーも含め数軒のワイナリーがあるので、ぜひワインも試してもらえればと思う。
アルザスワインは、実は土壌も重要だ。51種あるグランクリュはご存じの方もいるかと思うが、LIEU DIRと言われる土壌の特徴が生かされたワインが多く存在する。
こちらのワインはぶどうが栽培された土壌がボトルと一緒に置いてあった。土壌の違いが味にも影響し、こうして土壌そのものを見ると、ちゃんと土壌の違いが分かるだろう。
こちらがワイン畑。アルザスの田舎ののどかな情景が分かってもらえるだろうか。
こうやって村とその周辺のぶどう畑の写真を見せてくれながら、畑について説明してもらった。長閑な田舎の村に隣接してぶどう畑があるというのが分かる。
そしてこちら。日本に入っているワイン、若いカップルの自然派ワイン生産者Florian & Mathilde Beck-Hartweg。
アルザスのワインショップの方が「自然派ワインのことを学びたかったらここに行くと良いよ」と教えてもらったことがある。おそらく今時の自然派ワイン生産者なのだろう。この日もベルギーから来ているというインターン生がサーブしてくれた。
日本のワイン市場はあまり分からないのだが、日本は最近自然派ワインが流行っている印象だ。最近よく自然派ワインを見かける気がする。
こちらでは、グランクリュはFRANKSTEINがあった。
こちらはDomaine Pierre Adam。Ammerschwihrという村にあるワイナリーなのだが、なんと、その村には1600人ほどの人口で30軒ほどのワイナリーがあるという。
その村には日本に輸出されているワイナリーも結構あるが、こちらは日本に入っていないワイナリーだ。
アルザス51番目のグランクリュ、KAEFFERKORPFのリースリング。
こちらはグランクリュ SCHLOSSBERGのリースリングとゲヴェルツラミネール。
村によってグランクリュがあるケースが多いが、ワイナリーはいろんな所に少しずつ畑を持っていることがある。そのため、一軒のワイナリーでも幾つか異なるグランクリュのワインを生産しているワイナリーも多い。
この展示会では、今ワイン生産を勉強しているという息子さんがワインのテイステイングをさせてくれたのだが、将来の跡継ぎという事でとても頼もしかった。
彼が生まれた時に作ったという彼の名前の付いたキュベのワイン、ピノグリのキュベテオ。自分の名前の付いたワインと一緒に写真を撮らせていただいた。
アルザスには、ワイナリーのご家族の名前が付いたキュベやワインが多い。そういうワインはワイナリーさんの愛情が込められているので、特別なワインだったり、美味しいワインの事が多い。
こちらはストラスブールから20キロの村にあるワイナリーMaison Zoeller。
日本には入っていないオーガニックワイン。こちらのワイナリーの方はAVAというアルザスワイン組合にも関わっているのでこちらのブースでは色々アルザスワイン事情についても教えてもらった。
こちらオレンジワイン。オレンジワインはラベルもオリジナルで変わったアート系なラベルが多い印象があるが、こちらもとてもシンプルで、Oの部分がくり抜かれていて、オレンジ色が見えるようになっている。
私のアルザスワイン事情はこうして多くのアルザスワイナリーの方々から直に学んでいる情報だ。こちらの方にアルザスワインの現事情を教えて頂いたのだが、最新情報として、現在アルザスのワイナリーは749軒あるんだそうだ。私の知っている最終情報は980軒だった。その後いろいろなワイナリーさんとお話しても「そんなにないよ、600くらいじゃない?」「もっと減っているよ。」という話は聞いてきたのだが、今回やっと最新情報を頂くことができた。数年前にアルザスワイン委員会(CIVA)の配布するフライヤーには980軒だったので、ここ数年でアルザスのワイナリーが減少していることが分かる。
こちらは先日パリで開催されたWINE PARIS内の若手アルザス個人ワイナリー組合内で出展していたENGEL。
まだ20代の息子さんだそうで、最近は若手のワイナリーの跡継ぎの人たちや、新しいワイナリーなど、組合を作り積極的に活動している。
ゲベルツラミネール、グランクリュ、PRAELATENBERG。
リースリングのヴァンダンジュタルディブ。甘口ワインだが、リースリングの遅積みワインは、ただただ甘いだけではなく、リースリングの酸味も感じられる。
私がブースを訪れた時は、ご両親がいて、パリの展示会に来ていた息子さんはこの日はお休みだった。私は個人的には上の代の方とお話する方が好きだ。やはり畑のことにしても、ワイン生産にしても、経験と知識が豊富なので、いろいろ教えてもらえることが多い。
こちらのワイナリーの方にも写真を見ながら「ここがウチの畑で…。」「ここがグランクリュ…。」といろいろ教えてくれた。
SPITZ&FILSさんは、自分のワイナリーの家をラベルにしている。ワイナリーではシャンブルドットと呼ばれる、いわゆるB&Bのような宿の提供もしているようで、ワイナリーでの宿泊も可能だ。ラベルにワイナリーをプリントしているという事で良い宣伝になるんじゃないかと思った。ワインにもラベル買いするケースもあるが、こちらのワインはアルザス風の家がプリントされているし、アルザスのお土産にも良さそうだ。
そしてこちらDOMAINE HAEGI。こちらはクラシックなシルヴァネール。
そしてこちらがグランクリュのシルヴァネール。
アルザスは51種グランクリュがあるが、通常はグランクリュは、リースリング、ピノグリ、ミュスカ、そしてゲヴェルツラミネールの4種の品種の生産が可能だ。しかし、こちらのグランクリュ、ZOTZENBERGはシルヴァネールの生産が許可されている唯一のグランクリュだ。(その代りグランクリュWOTZENBERGミュスカの生産が無い)。
今では「忘れられたワイン」とも言われるシルヴァネールだが、美味しいシルヴァネールに出会うと、本当に美味しい。スッキリ飲みやすい、夏に合うワインだと思うのだが、そのため沢山飲めてしまうこともあり、1リットル瓶のシルヴァネール生産しているワイナリーもある。
「忘れられたワイン」と言われてしまうのは恐らく飲みやすく、気軽に飲めてしまうので、重要性、高級感が薄く感じてしまうからなのかもしれない。グランクリュのシルヴァネールはかなり珍しいので、機会があればぜひ飲んでみて欲しい1本だ。
そしてこちら、特に去年から日本に多く入ってきているChâteau d’Orschwihr。
ここ数年この展示会でお会いして、お気に入りのワイナリーの1つなのだがなかなかワイナリーに行けていない。実はこちら、名前がCHATEAU、城というアルザスにしては珍しい名称なのだが、実はカーヴが本当にお城なんだそうだ。そのためCHATEAUと言う名を名乗ることができる。
また、そのためか貯蔵庫が広いこともあるのかかなりのヴィンテージものを販売する珍しいワイナリーでもある。
こちらも2004年もの。来年になると、2005年ものが飲めるとかで、確かいくつかのワインはこうして10年以上寝かせてから販売をしているという結構珍しいワイナリーだ。
こちらはグランクリュRANGEN。かなり急斜面にある土壌で、手作業しかできない、作業が大変な土壌と言われているが、その分「美味しいワインだよ。」とワイナリーさんたちが言うグランクリュだ。
もちろん、ヴィンテージものばかりではなく、最近のワインもある。こちらは2017年のもの。
こちらのイベントはさまざまな都市で開催されているが、実はパリのイベントではストラスブール以上のアルザスワイナリーの出展があるんだそうだ。やはりアルザスだと地元のワインなので、パリなど遠くの都市の方がアルザスワインが販売しやすいのかもしれない。