このイベントは、野外のバーがある敷地内の建物の一角で開催されており、若い造り手さんが多く、いろいろ新鮮なイベントだった。
日本にもすでに入っている有名アルザス自然派ワイナリーさんも出展していたが、新しい自然派ワインもたくさん見つけられた。B TO Cのイベント。メインはアルザスのワイナリーだったが、ドイツやスイスからの自然派ワイン生産者の方々も参加していた。
せっかくなので、いくつか面白いワイナリーさんをご紹介。
Domaine Fischbach
まずはDomaine Fischbach さんのワイン。
実は何代にも渡ってワイナリーを営んでいたのだが、一度辞めてしまい、改めて新しい代から畑を購入し、自然派ワイン造りを始めた若手のワイナリーさん。そういう意味では一代目のワイナリーとも言えるんだそうだ。
Raisins Sociaux
こちらは若者が集まってスタートアップしたワイン生産者。破棄されてしまうぶどう果汁でワインを生産しており、ぶどうはアルザスにはこだわっていないそうだ。自身のワイン畑がないワイナリー。若いワイン生産者では自分の畑をまだ持っていないワイン生産者もいる。
今回飲ませてもらったのはまだ未販売のもの。実はこの最初のワインは家のガレージで生産しており、今年から本格的にワイン生産を始めるんだそう。なのでこちらは非売品ワイン。ボトルの写真はSNSに掲載しないでと言われたので、見せていただいたワイン生産をしているガレージの写真だけ。まだ名刺などもまだなく、やっとFACEBOOKページができたくらいだと言う。こちらもこれから面白くなりそうなワイナリー。
Domaine Petitpoucet
こちらのワイナリーも正に1代目のワイナリー。なんと0、5ヘクタールしかない、アルザスで1番小規模なワイナリーなんだそうだ。
さらに、お値段も普通の自然派ワインよりもずっと安く、これじゃあ採算合わないんじゃない? なんて話をしてしまったくらいだ。
味も美味しいし、これだけ小さなワイナリーなら、本数も限られているし、正に限定自然派ワイン。雑誌やメデイアにもいろいろ取り上げられている。そういう意味では注目のワイナリーなんじゃないかと思う。
また今度、ワイナリーにも行かせてもらってゆっくり話を聞きたいなと思った。
あんまりまだ実現できていないのだが、こういうイベントに行ってからワイナリーを訪れるのも、そのワイナリーのワインを先に知ることができるから良いと思う。
アルザスの自然派ワイン
個人的に、まだ自然派ワインを知らなすぎたので、ここ最近は自然派ワインのテイスティングイベントによく参加している。今回、ようやく自然派ワインの美味しさがわかって来た気がする。
でもやはり自然派ワインは、典型的なアルザスワインとは別物だというイメージ。そう理解していかないといけない気がする。味の美味しい不味いではなく。
ビオ、ビオデイナミは美味しくないイメージだったのが、通常のワインと変わらない美味しさになってきていることもあり、最近は、アルザスでも人気なんだと思う。自然派ワインも同様。ただし、自然派ワインは瓶を開けてしまうと、味がどんどん変わっていくので、そこは気を付けないといけない、とよく言われる。前菜で開けたワインが、デザートの時に既に味が変わっているし、典型的なアルザスワインとは異なる。ちゃんとそれを理解して飲まないと、「あれ?」と思うこともあるようだ。
こう言う若手や新規参入の方も多くいる一方で、アルザスには後継者問題もあり、ワイン生産もなかなか難しいんだなと改めて実感する。
この自然派ワインのテイスティングは、若いワイン生産者の方が多く、新しいけれど美味しいワインに多く出会えた。やっと美味しさが分かって来た。
けれど、このアルザスの自然派ワインを飲んで、これがリースリングか、これがゲヴェルツラミネールなのか、これがアルザスワインなのかと思われてしまうと、やっぱりちょっと違う。典型的なアルザスワインとは別物だと思う。
自然派ワインは、ある意味昔ながらのワインの生産方法ではあるのだが、自然派ワインという別のカテゴリーな気がする。
どちらかだけを飲んで、アルザスをわかった気にならずに、両方を試してみることをお勧めする。その上で、どちらが良いとか悪いとか、アルザスらしいとかではなくて、好みで選べばいいと思う。