恵比寿ガーデンプレイスタワーの直通エレベーターで最上階の39階に着きほの暗いフロアを進むと、一際輝く電光ディスプレイが料理のビデオを映し出しています。
店内は開放感のあるオープンキッチンで、160ある客席の先の大きな窓からは東京の美しい夜景も堪能できるスタイリッシュな雰囲気のレストランです。
ロングレインのキャッチフレーズ、本場さながらの「4つのS」、 SPICY(辛さ)、SWEET(甘み)、SOUR(酸味)、SALTY(塩気)”を効かせたモダンタイ料理とギリシャワインのペアリングに期待が募ります。
まずは「葉に包まれた食べ物を一口で食べる」という意味の「ミャンカム」、スペインのピンチョス的なタイ料理のスターターとギリシャビールで始まりました。
柑橘系の香りと微かなほろ苦さを感じさせるギリシャビール「イエロードンキー」は、サントリーニ島でイエア・ワインズのオーナー、ヤニスさんの、「Santorini Brewing Company」が作っています。
ニュージーランドなどから輸入したこだわりのホップを使用し、一日900ℓの製造量のサントリーニ名物ラガーエールです。
イエア・ワインズのワイナリーは、そのサントリーニ島とペロポネソス半島の北東部の町ネメアにあります。ヤニスさんはその2つの場所を行き来して良質なワイン造りに励んでいます。
観光地で有名なサントリーニ島は数千年のワイン造りの歴史を背景に、その独特の気候風土から生まれる白ワインの地葡萄アシルティコで近年話題になっています。火山の島故、軽石や溶岩の土壌が葡萄の害虫フィロキセラを寄せ付けず、強風から守るための円いバスケット状で育てる葡萄樹は50~100年の平均樹齢ですが、その根は3~5世紀にもなる木が多数あるようです。
一方ペロポネソス半島のネメアはコリントス県に属する町でこちらも数千年のワイン造りの歴史を持っています。地葡萄アヨルギティコはこのネメアだけで栽培され、ネメアP.D.O(原産地名称保護)として認可されています。ギリシャの代表的な黒葡萄の一つであるアヨルギティコは今回のメーカーズディナーではロゼワインとして供されました。
しっかりした酸味とミネラル感のあるアシルティコ、ほの暗い室内でも鮮やかな色彩が美しい軽やかな舌触りのロゼはロングレインのタイ料理と相性が良く、多くのゲストが何杯もグラスを重ねたくさん用意されていたボトルがあっという間に空いてしまいました。
メインデイシュのカリカリとした食感とほのかに甘いスパイシーな味付けが癖になりそうな豚肉料理はロゼとのペアリングが抜群に良いとのことでしたが、それを食べる時にはすでにロゼが無くなっていて残念ながら合わせられませんでした。
ギリシャワイン及びビールの輸入元、ヴァンドリーヴのエルクーリ・スヘイル代表とヤニス・パラスケヴォプロスオーナー主催のメーカーズディナーは多数のゲストを迎え盛会でした。
イエア・ワインズの日本への輸出本数は前年比で二倍以上伸びていると語るヤニスオーナーの願いは、ギリシャを再び世界のワインマップに上げ注目される存在になること。その明るい人柄と情熱で大きな目標に向かってこれからも一歩一歩着実に進んでいく予感がした夜でした。
スヘイル代表とパラスケヴォプロスオーナーを囲んで