日本の美の表現の「書道」とのコラボレーション
ブルゴーニュのそれぞれのクリマ(Climats)の由来にインスピレーションを得た「書」とのコラボレーション展示がずらりと。
同じ「美」を表現するということで、ワインも書も同じであるというブルゴーニュワイン委員会の素敵なお言葉もありました。
(フランス語では何を言っているか分かりませんでしたが、通訳さん曰く、そういうことを言ったとのことです、しかし、フランス語って何をしゃべっていてもオシャレな音ですね)
最近の「情熱大陸」の番組にご出演されていた情野ソムリエがファシリテーターとしてクリマの特徴を説明して下さりました。情野ソムリエの説明って実に聞きやすいんですよね〜。聞き入ってしまいます。
何よりも、すっと素直に理解できるリズムを持っています。数年前、自由が丘ワインスクールで情野さんが講師されていたのを思い出しながら、プイィ・フュイッセ(Pouilly-Fuissé)を飲みました。あの時は、「フランスのシャルドネ」すら分からず全て外しまくっていたなと・・・。
クリマとは「無為」である
白ワインも赤ワインも、さまざまなワインが出てどれも素晴らしかったです。ただ、私が一番心が動いた瞬間は、この「書」でした。
クリマとは「無為」、つまり「無為自然」であるという書のパフォーマンスです。
素晴らしいです!!
でもその時、「何もしないで自然のままってことね!」と呟いた来場者がいました。
思わず私は、心の中で突っ込んでしまいました。
なぜなら、この場合の無為とは、「まったく何もしないこと」ではないからです。老子の教えにある「無為」という言葉の「為す」という本来の意味は余計なこととか、道を逸れた強引なことをするなという意味です。
よって、全くほったらかしにすることが「無為」ではないです。そう思ったとき、その意味をブルゴーニュワイン委員会(BIVB)の方にも正しく翻訳してくれたかなぁとが非常に気になりました。(主催者側の人間じゃないのですが、職業柄、かなり気がかりになりました)
要は、天地人の神秘を大切にしつつ、その中でわざとらしい加工を加えない。それがクリマへの敬意であり、「無為」という言葉であるという書です。
その意味がしっかり伝わらないと軽すぎるのです・・。書自体は荘厳なのですが、意味としては間違ったクリマの理解です。
表現は、伝える人も重要ですが、「受け取る人」にも「責任」が伴います。ワインに限らず、「表現」を余すことなく感じられる人になるべく、漢字の意味の機微にも敏感にならなければならないなと身の引き締まるイベントでした。
続く。
この記事を書いた人
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東京都内で働く30代サラリーマン。(J.S.Aワインエキスパート)
忙しい毎日の中で、お酒について見つけたこと、感じたこと、好きなこと、愉しかったことなど、ワイン×ライフスタイルを中心テーマに、徒然なるままに色々なことをリーマン視点で、提案していきたいと思っております。
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