例えば初めて飲んだワインが感動するくらい美味しかったとき、こんな美味しいワイン、誰が作ってるんだろう? どこで作ってるんだろう? と思うことって、極めて自然な疑問ではないかと思うんです。
そんな疑問を解決するために生産地に気軽に行ければそれに越したことはありませんが、そう簡単にフランスやイタリアには行けないわけで。。。だからこそ、気に入った海外のワイン生産者が日本にやってくる機会があるなら、行かないわけにはいきません! ましてそれが私のお気に入りの生産者ならなおさら。居ても立っても居られません。
ということで私はフランス・ロワールのヴァンナチュール生産者ジェローム・ソリニーという方の試飲会イベントに行ってきました。
よく行くお店の方が、彼の友人だったことがきっかけで、そのワインを飲ませてもらい、勝手に親近感を持っていたんですが、何より彼のワインはシンプルに美味しい。いままで飲んだ他のナチュールのどれとも異なり、明確な「味」があったのです。
たとえば、「Calux」というキュヴェはカベルネソーヴィニヨン、カベルネ・フランをミックスしたものですが、これは明らかに濃い出汁のような、コクとインパクトがあるけど、飲み口と喉ごしは軽く、柔らかい、不思議な1本でした。昨年この「Calux」をきっかけにソリニーの作るワインにハマり、自宅で、お店で、いろいろな種類をそれはもう飲みまくりました。どれを飲んでも「彼の味」があるのです。この衝撃を超える他の生産者のワインにそう出会えていません。私にとってはそれぐらい印象深いワインであり、生産者なのです。
試飲会当日は様々な彼のキュヴェが並び、自由にテイスティングをしながら、ワイン作りを始めた経緯や、それぞれのキュヴェの説明をていねいにしてくれました。
その中で彼は、「パーフェクトなワインは目指していない。欠点があってもよい、それはすべてワインの個性だから。」と話し、この印象的な発言がまさに彼の生き方や人となり、そしてワインに対する姿勢をストレートに表したものだなと深く頷いてしまいました。これはワインだけでなく、人の生き方に対しても救いを与えてくれる言葉ですよね。
そんな彼の話にしみじみ感銘を受けつつ、会の後半は蔵出しのペティアンも振るまわれ、こちらもやはり独特の味もありつつ軽やかさを十分に感じる一杯で美味しかったなぁ。。会の終盤どうしてもソリニー本人に気持ちを伝えたい一心で、私のたどたどしい英語で会話させてもらい、こちらの意図を汲み取ってくれる姿勢にますます彼の温かさや優しさを感じ、さらに好きになってしまった瞬間でもありました。