さつま揚げがうまい。
注文してから揚げるので、できたての「カリッふわっ」の食感が楽しめる。
薬味と一緒に醤油をちびっとつけて、あつあつをいただくと、口の中に至福の世界が広がる。
ビールにも日本酒にもワインにもよく合う万能のおつまみだ。
さつま揚げは、鹿児島が発祥なので、「薩摩」揚げなわけだが、
実は、この呼び方は関東や東北地方だけらしい。
西では、はんぺんだったり天ぷらだったり、そんな呼ばれ方をする。
九州だったか、四国だったか、昔、いか天うどんと頼んだら、
イカゲソを生地に練り込んださつま揚げがうどんにのっていて、
軽いカルチャーショックを受けたことがあった。
呼び方はともかく、全国で食されているわけで、さつま揚げのうまさは、
日本中の人が認めているということの証しでもある。
まさに居酒屋メニューの「基本」だ。
この店の店名は「基本」。
飲兵衛たちが大好きだけど、仕込みのめんどうなさつま揚げを看板メニューにするあたり、
居酒屋の「基本」をよ~くわかってらっしゃるんだと思う。
居酒屋の基本とは何か。
料理がうまいだけじゃだめで、接客がていねいなだけでもだめ。
じゃ、何かって言うと、何事にも手を抜かない姿勢だったり、
お客に喜んでもらうことを第一に考える気持ちだったり、
実は、そんなことだったりする。
結果、ちょっとまずい料理があったり、いやな思いをしても、
姿勢や気持ちがちゃんとあれば、すぐに忘れてしまう。
いや、この姿勢と気持ちがあれば、たいていはうまいし、気持ちよく呑める。
私は、販促コンサルタントという肩書きもあったりするので、
飲食店の相談に乗ったりすることもあるのだが、
上辺のノウハウだけでなんとかしようとする店は、繁盛店になることはまずない。
姿勢と気持ちが大切なのである。
お客さんに喜んでいただきたいという気持ち、それこそが居酒屋の「基本」なのではないだろうか。
この店には、その「基本」がちゃんとある。
だから、美味しいし、居心地がいい。毎日たくさんの飲兵衛が集まって来るのもよく分かる。
ちなみに、店名の由来を店主に聞いたことはない。。。。