和食の中でも、甘みととろみがある京料理と、酸があるワインは、相性が良いのかを分析します。
今回の料理人は京都 高台寺 和久傳の総料理長 藤山さん。
そして今回のワインは新潟フェルミエのワインからアルバリーニョとカベルネフラン。
生産者の本多ご夫妻。
京料理とフェルミエのアルバリーニョそれぞれの特徴をあげてみます。
京料理の特徴
・昆布出汁が多い … 柔らかな丸み
・西京味噌、葛など … 甘みととろみ
・青山椒 … 強烈な青さと舌に感じる痺れ
フェルミエのアルバリーニョの特徴
・熟したグレープフルーツ・桃・アプリコットの香り
・かなりしっかりとした酸を持ち、余韻に苦味がある
これらの特徴を頭で考えると、酸が目立つワインは京料理には合わせにくいのではないか。ワインにも甘さとふくよかさがある物が京料理には合うはずだが、酸のあるアルバリーニョをどう合わせてくるのだろう?
と疑問が湧きます。
あれこれ考えながらも食事がスタート。
当日の献立とワイン
当日のワイン
それぞれ違う造りをした三種のアルバリーニョのワイン
「バリッカ(樽熟)・マセラシオン(赤ワインの製法)・パシフィカード(干した葡萄)」
を今回のマリアージュに使用。
一品目 甘鯛と車海老のお造り 塩ポン酢
ワインはアルバリーニョ・バリッカ
塩ポン酢の酸味は柚子を使用し、このワインの香りの中にある熟したグレープフルーツの香りに添わせてある。アルバリーニョの特徴の一つである余韻の苦味と柚子の苦味もぴったり。樽由来の香りが強すぎないため、お造りの味を邪魔せず、生臭さは全く感じない。甘鯛の香り・車海老の甘味をワインの香りと酸が引き立てている。
二品目 椀物。フグの白子の焼物 蕪のすり流し
ワインはアルバリーニョ・マセラシオン
赤ワインと同じ製法で作られているため、複雑な果皮の香りとタンニンを感じるしっかりしたアルバリーニョ。蕪のすり流しをいわゆるこの手の椀物にある粗めのすり流しではなく、ポタージュの様なクリーミーさに仕上げてある。白子を食べ、ポタージュ状の汁で重甘くなった口中をワインが軽やかにし、次の一口が美味しくなるマリアージュ♡
ここまでの二品で藤山料理長LOVEになってしまいました。素晴らしいマリアージュ。ワインの特性を的確につかみ、料理をそれに合わせて変化させる、でも!ここが重要ですが、和久傳の味を壊していない!
それが素晴らしいです!
後半はもっともっと藤山料理長マジックが冴え渡ります。
「京料理とワインのマリアージュを検証する②」もご覧くださいね~