
眩しすぎる太陽と、眼下に広がるりんごの木
灼熱のヴァレー・フロア
メイヤーのワインの涼しげな佇まいに、やっぱりなんだかんだヤラヴァレーは冷涼なんだ、と思いかけたところで、その考えはみごとに覆された。
午後に訪れたヴァレー・フロアの暑さといったら、まさに灼熱だった。目を開けていられないほど眩しくつよい日ざしが降り注ぎ、日焼け対策をしなかったら皮膚ガンになってしまいそうなほどだ。
訪れたワイナリー、パント・ロードでは、ぶどうだけでなくリンゴの木を植えていて、アップルサイダーも造っていた(もうワインよりサイダーの方がいいかも)。セラードアには外で飲めるスペースもあり、ノースリーブの若者たちで賑わっていた。
ワイナリーでは、ヤラ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンとシラーズを6種類ずつテイスティングさせてもらった。その中には、マック・フォーブズの「フード・フレンドリー」とは真逆を行くような、熟した果実の、飲みごたえのあるものもあった。ハンター・ヴァレー、キャンベラ、ヤラ・ヴァレーと回ってきて、一番どっしりしたワインに出会ったのが、一番涼しいと思っていたヤラ・ヴァレーとは……。
今後温暖化がもっと進んだら、カベルネなどの晩熟品種がアッパー・ヤラにうつるとして、今でも暑いヴァレー・フロアには何を植えるのだろう。ヤラ・ヴァレーは冷涼産地ではなくなるのか。今後のワイン地図の変化について考えさせられる産地訪問だった。