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ドミニク・ブシェ トーキョー料理長 厚東 創(こうとう・はじめ)、はじめて岩手に行く(後編)

続・新しい食材との出合いを求めて

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ほろほろ鳥の農場にて

「昨日、実は3時まで飲んでたから」と苦笑しつつ眠い目をこすりながら、朝8時の訪問を迎えてくれた石黒農場・専務の石黒幸一郎さん。

石黒さんが生産するほろほろ鳥は、この数年フランス料理店をはじめとするプロからの信頼も厚く、料理人たちとのつきあいも深い。昨夜の深酒も、そんな流れの一環だったらしい。

石黒農場のほろほろ鳥は、厚東シェフも使った経験がある。

「肉も内臓も、健康な味がする」からこそ、その生育環境を自分の目で確かめたかったという。石黒農場には敷地内に源泉があって、飼育小屋の暖房にも、飲料水としても温泉水を使っている。人間が食べられるほどいい米を飼料にしているから、肉に臭みがない。大切にされているから、本来は神経質なほろほろ鳥が、すくすく育つ。

「フランスのほろほろ鳥は、味に力強さがあって、味が濃い。ここのは、ナチュラルで繊細さを感じる。とにかく食べやすい。ほろほろ鳥というと、苦手意識を持つ人がいるけれど、これなら万人受けする」と厚東シェフ。

ダンディで温かな石黒さんの雰囲気を、石黒さんのほろほろ鳥の肉から感じる、とも!

つい長居したあと、及源鋳造経由で職人仕事を見学。さらにエーデルワインで、「にごりスパークリング ヒメコザクラ カベルネ・フラン ロゼ」等を試飲した。土地とブドウの声を聞き、端正に造られたワインたちもまた健やかな味わいであった。

後日譚。その後、厚東シェフは石黒牧場のほろほろ鳥を仕入れて、スペシャリテとしてときおり店で出している。メニューには載ってないので、ぜひお店で確認を。

DAY TWO AM

AM08:00 石黒農場2日目朝8時

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盛岡のホテルを7時に出発。花巻温泉を通り過ぎ、さらに奥に進むと現れるここは、ほろほろ鳥の専門農場。温泉あり、もみの木あり、蓮の浮いた池あり、古民家ありのワンダーランド。

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写真左
塩をして、油だけで焼いたほろほろ鳥のもも肉、むね肉、砂肝、レバー。さっぱりした味わい。「健康に生育したことが内臓を食べればよくわかります」と厚東シェフ。

写真中
石黒農場では岩県産の白米、黒米、赤米を飼料にしている。「いいもの、食べてるでしょう、うちのほろほろ鳥」と石黒幸一郎専務(写真右)。

写真右
1973年に父・石黒晋治郎さんが始めたほろほろ鳥飼育を現在は息子・幸一郎さんが引き継いでいる。ほろほろ鳥はフランス料理に必須。東京はじめ各地のレストランでオンメニューされている。通販での購入もできる。

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生後4日目のほろほろ鳥。アフリカ原産でデリケートな性格だから、環境は大切。床に天然温泉を引き室内30℃に保った飼育小屋で、約120日間育てる。年間出荷できるのは日本では石黒農場だけだそう。常時1万2000羽いる。

AM10:00 及源鋳造

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「南部鉄器の鍋を店で使いたい」という厚東シェフの要望で訪問した。創業1852年。900年前に遡るという南部鉄器の歴史の一端を、今に伝える老舗だ。

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写真左
及源鋳造の熔解工程は週に一度のみ。熟練工の仕事ぶりを見学する。大量生産できないし、後継者難であることに納得。「いつか特注で鍋をお願いして、お店で使いたいですね」と厚東シェフ。

写真中
昔ながらの南部鉄瓶。最近は需要に応えるべく、青、緑、黄色といったカラー版も出ている。熱伝導がいい南部鉄器は鍋やフライパン用にも最適なのだ。

写真右
こんなにいいものが日本にあるのに、どうして海外製にいっちゃうのかな。と厚東シェフは思う。もっとも最近南部鉄器の鍋も人気で、小ぶりなサイズだったら豊富に揃っている。(写真上下逆?)

PM00:45 エーデルワイン

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1960年代から花巻市大迫でワイン造りを続けるワイナリー。2015年5月に「レストラン ベルンドルフ」を開業。生詰めの白を試飲した。

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