コルシカはおいしい。今まで日本やパリで食べてきたコルシカ名産のチーズやシャルキュトリー(ハム、ソーセージなど食肉加工品の総称)はなんだったのだろう。
「僕たちは本土から遠い島だし、土地が狭いからもともと外に出すほどの量はないし、一番おいしいものは自分たちで消費してしまうのさ」。
ワインはありがたいことに島の外でもおいしいものが飲めますが、いかんせん種類も数も少なすぎ。一般的な評価も高くありません。以前、あるフランスのワイン生産者に「コルシカのワインが好き」と言ったら、「飲むと頭が悪くなるよ。ある世代以上の人はけっこうそう思っているよ」。もちろん偏見、差別です。
その話をコルシカですると、「アルジェリア独立戦争のあと、植民地から帰ってきた人たちに政府はコルシカの平地部分の農地を与えて入植させたのですが、彼らはそこで大量生産してひどいワインを作り、コルシカ・ワイン=まずい、という評価になってしまったのです」。
それは何十年も前の話。いまやコルシカ・ワインの平均的レベルはフランス屈指だと思います。
でも、これだけは言っておかねばなりません、コルシカ・ワインは典型的なフランス・ワイン、つまり、あの往々にしてツンと取り澄ました、神経の集中を要求するような、姿形が洗練された味ではありません。だからブルゴーニュやボルドー的な価値観でコルシカ・ワインを飲むと、コルシカ・ワインの「高品質」の意味が誤解されてしまいます。
コルシカ・ワインは、むしろ中近東や黒海沿岸やクロアチアや南イタリアのワインに似ています。物的な強さを押し出して自然と対峙したり、抽象的な鑑賞対象にしようとしない味。豊かな果実味の甘さ、おおらかな力強さ、そしてやさしい性格。ワインにゆったり包まれて、ワインが自分と自然のあいだをつなぎ、飲むと自分が自然の一部となるような感覚。
そこでの「自然」は、理知的に分析された概念としてのテロワールではありません。ワインの味にそのまま表出する、即時的で未分化な自然。それを直感的に受け止めることで初めてわかるようなワインなのです。
だからコルシカに行かねばなりません。強い日差しを浴び、澄みきった青い地中海を眺め、海風に吹かれ、花崗岩や石灰岩が剥き出しの風景の中に佇み、料理を食べ、そのすべてを自らのうちに取り込まねばなりません。
コルシカは紀元前6世紀にギリシャ人によってブドウ栽培が始められたフランス最古のワイン産地です。ローマ時代や近代に形成されたフランス本土の産地のワインからコルシカを見るのではなく、逆にコルシカ・ワインに軸足を置くことで、フランス・ワイン、さらにはワインそのものの本質が、新たに見えてくるのです。
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Wine Shop
アジャクシオ
ル・シュマン・デ・ヴィニュロンコルシカでワインを買うならまずはここ。コルシカ全域から見事なセレクト。フランス全土のレアなアイテムも充実。
DATA
Le Chemin des Vignobles
住所:16 Avenue Noel Franchini
20090 Ajaccio, Corsica -
Restaurant
サン フロラン
チンチン ショ・トワノウロブスターのパエリア
コルシカはロブスターが名物と聞いて、地元料理ではないがパエリアを試してみた。確かにうまい。ウニも絶品と聞く。DATA
Tchin Tchin Ches Toinou Resaurant
Rue du Quai, Saint Florent, CorsicaRestaurant
ボニファシオ
キッシング・ピッグスコルシカチーズとシュルキュトリーの盛り合わせ
フィガテル、レンズ、コッパ、サラムといったコルシカのシャルキュトリーと多彩なグラスワインの相性が楽しめる。DATA
Kissing Pigs
15 Quai Banda del Ferro, 20169 Bonifacio, CorsicaRestaurant
アジャクシオ
ル・ザンジバルアジャクシオ風イカの詰め物
フォッシュ美術館近くにある気軽なワインバー。濃厚なイカの味を軽やかにする紫バジルの香り。ロゼや赤が合う。DATA
Le Zanzigar
5 Rue des halles, 20000 Ajaccio, CorsicaRestaurant
アジャクシオ
シェ・アランコルシカ風ムール貝コルシカの香りそのものと言っていいマキをうまく使って蒸したムール貝。特にミルトの風味が病みつきになる。
DATA
Chez Alain
Plage d’Agosta, 20166 Corse, CorsicaRestaurant
パトリモニオ
ル・ベルタヴァン骨付きラムのグリルパトリモニオの街中にあるグリルが得意な、地元っぽい店。ラムはくさみ皆無で伸びやかなうま味。この村の赤と共に。
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