
眼下にイランシーの村をのぞむ丘の上から。背後にサン・ブリがある
シャブリだけじゃない
オーセールの周囲で、最も有名なワインの産地はなんといってもシャブリ。
しかし、シャブリのさわやかなシャルドネを特徴づけるとされる、ジュラ紀後期の地層、キンメリジャンとポートランディアンはシャブリだけのものではない。今回訪れた、サン・ブリとイランシーは、シャブリのすぐとなり。いずれも村名アペラシオンで、大きくはグラン・オーセロワという枠組みに入るけれど、サン・ブリではソーヴィニョン・ブランとソーヴィニョン・グリを、イランシーではピノ・ノワールとセザールを育てている。「いったいいつからブドウを育てているのかわからない」というほどに古くから続き、この地域のシャルドネ以外の伝統品種がある、グラン・オーセロワを垣間見るところから、今回の旅ははじまった。
サン・ブリの畑から。キンメリジャンは、シャブリの代名詞的土壌。太古の牡蠣の殻の化石を含む石灰質と泥灰質が特徴で、ジュラ紀後期のキンメリジャン期のものであることにちなむ。この畑の土壌はどちらかというと、ポートランディアンで、キンメリジャン期の後の時代、ジュラ紀末期の地層。こちらも、時代の呼称からその名が来ている。貝殻の化石を含まず、粘土質が多い。