フランチャコルタの新世代のつくり手6人を訪問する
2018年5月、イタリア中を沸かせる自転車レース「ジロ・デ・イタリア」のゴール地点となったことで話題を集めたイゼーオ湖。湖畔にはバールやレストランが軒を連ね、夏はリゾート客でにぎわう。
つくり手その1
LA BOSCAIOLA-VIGNETI CENCI
ラ・ボスカイオーラ ヴィニェーティ・チェンチ
Via Riccafana,19-25033 Cologne
www.laboscailoa.com
ジュリアーナ(右)とマウリツィオ母子。
ブドウの凝縮感を活かし
ナチュラルなワイン造りを実践
1990年、協会を設立した20の生産者のうちの1軒。創業者のネルソン・チェンチは、第二次世界大戦時に従軍し、ロシア戦線で負傷した際にフランチャコルタ出身の兵士に助けられて帰国。この地を永住の地と決めて1960年代に農園を購入した。現在は娘のジュリアーナ・チェンチと孫のマウリッツィオ・バッシのふたりがワイン造りを手掛ける。
フランチャコルタ南限、オルファノ山の南斜面に広がる5haの畑で栽培されるブドウは、樹齢40年を超えるものがほとんど。他のエリアに比べて温暖で、収穫も8月初めと早い。
シャルドネ、ピノ・ネロ、ピノ・ビアンコは品種ごとに樽で発酵させてブレンドし、二次発酵時、砂糖ではなく、ブドウ果汁を添加する。全6アイテムを通じ、ナチュラルでフレッシュ、デリケートな果実味が印象に残る。
つくり手その2
LE CANTORIE
ラ・カントリエ
Via Castello di Casaglio 24/25 franz. Casaglio – 25064 Gussago
www.lecantorie.com
エリザベッタが、ワインづくりの中核。
標高350メートルの斜面に畑がある
新興の実力派ワイナリー
南東部グッサーゴで1998年に創業した家族経営のワイナリー。ミラノ大学で醸造学を学んだ次女のエリザベッタ・ボンテンピが栽培醸造の指揮をとる。
フランチャコルタのリリースは2005年からという新興ながら、評価の高い造り手だ。カンティーナは標高350メートルの場所にあり、フランチャコルタを一望できる。地続きの斜面に広がる畑は12ヘクタール。高い標高に加え、石灰岩土壌が大きな特徴だ。
フランチャコルタは、シャルドネとピノ・ネロから造るブリュット、サテン、ロゼ、リゼルヴァの4アイテムが基本。発酵はステンレスタンクで、サテンのみ一部バリックを使用する。瓶熟成は最低でも30カ月、良年のみ仕込むミッレジマートは70カ月と長く、石灰岩土壌由来の酸とミネラルがバランスよくなじんだエレガントなスタイルに仕上げる。
バンケットルームに続く通路を利用した熟成庫。
グッサーゴの街並みを見下ろすブドウ畑。クルテフランカとセビーノというスティルの赤ワイン用ブドウも栽培している。