
「のまサルーテ!」の主催者、佐々木 賢・佳津子夫妻。
生産者と会話しながらの買い物は心に響く
毎年2回、春と秋に開催され、今年の9月で30回目を迎える「函館西部地区バル街」や全国から料理人が集まるフォーラム・世界料理学会の開催など、函館は以前から食を楽しむ文化が根付いている。その函館で、昨年より開催されているのが「のまサルーテ!」という自然派ワインを楽しむイベントだ。
仕掛け人は、函館・万代町にある、創業大正10年の「酒ブティック越前屋」、五稜郭のイタリアンの名店「コルツ」、そして、函館元町で2012年に設立されたワイナリー「農楽蔵(のらくら)」だ。中心人物の「農楽蔵」の佐々木 賢さんにこのイベントについて、あれこれ訊ねた。
なぜ、「のまサルーテ」を開催することになったのですか?
「最初は勢いというか、みんな(越前屋の吉田 央(ひさし)氏、コルツの佐藤雄也シェフ)で飲んでいる席で、『フェスティヴァン』みたいな全国で開催している自然派ワインのイベントを函館でもやりたいね、という話になり、もともと『マラットヴァン』という、北海道の野生酵母ワインと自然に寄り添って食材を作っている人たちが集まったイベントを開催していたこともあり、1年おきに『マラットヴァン』と『のまサルーテ』を開催しようということになり、そこで、2016年に第1回『のまサルーテ』を実施しました」
会場の「函館市地域交流まちづくりセンター」。大正12年創建の丸井今井呉服店函館支店の建物だった。
イベントを開催するのって、大変ですよね?
「確かに、楽なことではないですよね。ただ私たち農産物を扱う立場として、目の前にある食べ物などが、どこから来ているか、誰が作っているかということを、少しでも認識してほしいといつも思っています。昔は対面販売が当たり前でしたが、今はそうではなくなってきていますし。
だから今回、のまサルーテ開始前に、『のまサルーテ!マルシェ』も開催してみました。
生産者と会話をしながらの買い物は、確実に心に響くと思います。そしてその体験は、誰かに伝えたくなる。また、販売する側も自分の作ったものがどういう思いで作っているのか伝えることでができ、反応を肌で感じることができる。それが生産者にとっては自信につながり、作ることがことがますます楽しくなるはずです。
そういう喜びが次に繋がり、生産する人・それを販売する人がおのずと増えてくれるのではないかなと思っています」
ちなみに農楽蔵のワインの年間生産量は10,000~12,000本。これからもこの数は増やす予定はないそうですね。
「僕たち2人で作る量はこの辺りがちょうど良いんです。農楽蔵のワインがもっと飲みたいとおっしゃっていただけるなら、同じ思いでワインを作る方が現れてくれたら、と思っています。
その思いは、『のまサルーテ』にもあり、このイベントもこれ以上大きくしたいとは思っていません。あくまでも人と人のつながりが伝わる距離でやっていきたいと思っています」
「のまサルーテ」の参加者は、第1回は約200名、6月17日(日)に開かれた第2回は300名弱で、飲食店ブースには、地元函館以外にも札幌や東京、大阪からの出店もありました。
「参加者の半分くらいは地元函館の方で、残りの半分が、函館外の北海道内の方と道外の方です。もともと『満月ワインバー』という企画を『コルツ』の佐藤さんが行っていることから、道外各地の飲食店などとの繋がりもあり、色々な場所から参加いただいています」
農楽蔵(のらくら)
2011年に北斗市に自家農園をスタートし、翌2012年に函館市元町の旧印刷会社社屋を改装し、ワイナリーを設立。ともにフランス・ブルゴーニュ大で醸造や栽培を学んでいた佐々木賢(主に栽培担当)・佳津子(醸造担当)夫妻のふたりで、100%北海道産葡萄、野生酵母発酵、低~無亜硫酸添加、無ろ過のワインを造っている。
※ワイナリーでの直売は行っていない。ただし、年に一度だけ、特定日に販売される(日時はFB等で発表)。
北海道函館市元町31-20
http://www.nora-kura.jp
www.facebook.com/農楽蔵
酒ブティック越前屋
函館市万代町16-25
tel.0138-41-0071
https://www.etizenya.jp
コルツ
函館市本町4-10
tel.0138-55-5000