
フランス人が造る日本酒も
今年4回目となる「サロン・デュ・サケ」は、フランス人のつくる日本酒の出品があったり、フランス人審査員による日本酒コンクール(品評会)の「KURA MASTER(クラマスター)」が出店していたりと、新しい試みが目立ちました。
以前、無料で配られていた讃岐うどんなどの軽食が廃止になったのは、がーん……。
今年が第1回となる「KURA MASTER」の審査には全部で550本の日本酒が出品され、6月26日にソムリエやレストラン・料理学校関係者など、32人からなるフランス人審査員がブラインドテイスティングで優秀作を選び出しています。
第1回ということで、純米と純米大吟醸の2部門だけだったのですが、結果を見ると、フランス人好みの味がはっきり浮き彫りになっていて興味深かったです?
やっぱりフランス人はきれいな酸味にこだわりますね!
ちなみに、プラチナ賞は58本、金賞は123本が受賞しました。サロン・デュ・サケの最終日には、クラマスターの審査委員長がひとりで決めるプレジデント賞と、さらに審査委員会が選ぶ審査員特別賞が発表されました。
結果はこちら⇒kuramaster.com
蔵元さんや杜氏の方が日本から遠路パリまでいらして、こうやって直接お話を伺える機会は非常に貴重でした。
日本酒をつくる上で、水はとても重要です。水の品質・柔らかさが大きな影響を及ぼす。特に一部の日本酒は、アルコール度数を下げるために最後に水で割るからです。蔵元さんの中には日本の全都道府県の水の硬度について詳しい方がいらして、とても勉強になりました。
蔵元さんによっては、ワイン造りにもとっても興味を示して下さり、次回は一緒にシャンパーニュに行きましょう! と盛り上がったりしました。
あとは福羅酒造の「東郷 生もと強力」が、冷でも熱燗でも両方美味しくて、特に熱燗は、鳥取県内のみで栽培されている酒米の強力(ごうりき)100%と、にごり両方ともとても心地の良い飲み口。にごりの熱燗は和牛を味噌焼きにしたお料理とマッチしそうな感じでした。
福光屋の「堂々」というお酒は、トリュフの香りがしました……。トリュフ酒、おそるべし。うっとりしてしまいました。
たいへん興味深ったのが、グレゴワール・ブッフさんと日本人蔵人の造る日本酒「Les Larmes du Levant」、和名「昇涙」です。当主のグレゴワールさんは、日本でも酒造りの修行をされていたそうで、ヨーロッパで最大級の日本酒醸造元になることを狙っているそうです。
場所はペルサン(Pélussin)。リヨンの南で、行政区分的に一応ロワールとなっていますが、実際はローヌのコンドリュー等に近いところです。
「Les Larmes du Levant」は純米吟醸で、金平糖のようなニュアンスのある、懐かしい味わい……。すっと身体に入ってくる、洗練されて、それでいて親しみやすい、癒しのお酒でした。
また飲みたいなー。
浅野ゆり
フランス歴8年のワイン/シャンパーニュ・エクスポーター。東京のフランスワイン・イベントで生産者のワインに対する思いに触れたことでワインに目覚め、産地めぐりをするためフランスへ1年半の間渡航。
帰国後ファインワイン専門インポーターに勤務。その後ワインをより深く学ぶため、単身フランスへ再渡航。ワイン醸造学校での2年間の学生生活とブルゴーニュのドメーヌ研修を経て、2014年にフランスのワイン国家資格取得。
複数のワイン輸出業者での勤務、パリの一つ星レストランでのソムリエールも経験後に、「美味しいワインで幸せな時間づくり」をモットーにワインの輸出業へ。シャンパーニュほか、ワイン産地の通訳/案内もしている。趣味はワイン産地巡りと写真撮影、1歳の愛娘とのパリの公園巡り。