第2試合 ロゼ
“オールマイティ論”は通用するか?
土田 “ロゼ=オールマイティ”って、もはや常套句でしょ? 何だか無難過ぎる逃げのチョイスみたいに感じてしまうんです。それでもやっぱりロゼ推しでマリアージュ提案をしてくる場合、そのセレクトの裏に一筋縄ではない深い読みとよほどの勝算があるんだろうなと勘ぐってしまう……。イヤらしいというか、あざとい気がするんですよね(笑)。
松本 見ての通り、ほか2種のソースより色が濃いですよね。原材料を炊く時間も1.5倍。時代の流れとともにソースも減塩で軽やかにシフトしつつありますが、昔の方が旨かったという意見もあります。これはちょっと昔風のパンチがあるタイプです。
髙橋 海鮮具材のお好み焼にも合いそうです。
ひぐち君 今、日本ワイン好きとしては外せないマスカット・ベーリーAの「いろ ベーリーA ブラッシュ」と広島お好み焼を試してみたら、何だかちょっと違う気がして、こちらは関西お好み焼の方が合うんじゃないかと。
髙橋 私もそう思いました! 広島お好み焼だとベーリーAのフォクシーな感じが際立ってしまう。
土田 そもそもマスカット・ベーリーAの特徴って?
髙橋 あ、急に変わりました! わずかに感じたちぐはぐさが解消され、一振りでぴたっと来ました。青のりのヨード感から、一気に海が近づきましたね。
ひぐち君 見えますね、海が! ロゼってスパイシーな味わいに合うというイメージがあったけど、海が似合うんだな。
柳 広島お好み焼ならば、「ドメーヌ・ド・ポープレ・ロゼ IGP ブーシュ・デュ・ローヌ」は? かつお節めっちゃ増量に青のりプラスでさらにイケるね。
土田 バランスが抜群で旨みもたっぷりのうえ、キレもいい。オシャレ過ぎてイヤらしい、ますますあざといワインじゃない?
柳 アナタ、まだ言いますか?(笑)。
土田 お好み焼で持ち寄りワイン会をしたら、ソースの風味を考慮して似たような赤ばかりが集まりそうでしょ。そんなときコレを持ってきたら、センスあるなぁって感じません?
柳 うん、確かに「ヘヘェ〜!」ってひれ伏すよね(笑)。
結果発表 ロゼのベストマッチは?
「ロゼ」には「関西お好み焼」×「お好み焼たべたい!お好みソース」が基本。タンニンより果実味と旨みがあり、ソースを重く感じさせないさわやかな酸を持つワインがベストだ。
しっかりしたヨード香やミネラルを持つ海テイストなロゼなら、生地に魚粉を使った「広島お好み焼」×「コクと旨みのお好みソース」。ハーブ香が特徴的なワインには紅しょうが、ヨード感の強いタイプには青のりなど、風味に共通項をプラスするのも効果的な手法だ。
輸入元:ジェロボーム
製造元:ラ・ヴィエイユ・フェルム
ヴァントゥー・ロゼ
シャトー・ヌフ・デュ・パプの最高峰「シャトー・ド・ボーカステル」などを所有する名門、ペラン・ファミリーが手掛けるネゴシアン・ブランドのロゼ。収穫したブドウに24時間のスキンコンタクトを施し、発酵・熟成ともにステンレスタンクを使用する。フローラルな香りにローズマリーやタイム、オリーブオイルなどのニュアンスが特徴的。ハーブ香に合わせて紅しょうがをトッピングすると、互いの味わいがさらにリンクする。関西お好み焼以外に、たこ焼などもOK。
輸入元:飯田
製造元:まるき葡萄酒
いろベーリーA ブラッシュ
日本人として初めてワイン醸造技術習得のためフランスに渡った土屋龍憲が創業した、現存する日本最古のワイナリー。赤ワイン用品種のマスカット・ベーリーAを白ワインと同じ製法で造った、やや辛口のロゼ。キイチゴや綿あめ、和菓子の香りにすっきりした酸。広島お好み焼ソースとの組み合わせでは品種特有のフォクシーさが強調されてしまうが、ワインの持つ酸のタイプと土っぽい香りがヨード感に合うため、関西お好み焼×青のりたっぷりで味わうとマリアージュ大成功。
輸入元:横浜君嶋屋
製造元:シャトー・ド・ボープレ
ドメーヌ・ド・ポープレ・ロゼ IGP ブーシュ・デュ・ローヌ
エクサン・プロヴァンス本拠を置く生産者。伝統を守りつつ、同地で最初に白ワインの発酵に樽を使用するなど、近代的手法も積極的に取り入れる。除草剤などの化学剤を使用しない自然農法でブドウ栽培を行う。赤いベリーの香りにフレッシュな果実味、伸びのある酸のバランスが抜群。軽やかながら充実した旨みがあるため、かつお節を増量した関西お好み焼と相性抜群。豊かなヨード香を持っているので、青のりも必須。さらにシーフード系具材を使用したお好み焼にも◎!