ユニークな名前は、その住所から。そう、ここは日本橋1-1-1。日本橋川のほとり、国の重要文化財「日本橋」が目の前に見える。日本橋側にはテラス席があり、開放的な雰囲気。外観も内装もモダンでレストラン風だが料理は和食。入り口を入ってすぐ左手におしゃれなバーカウンターがあるのだが、バックバーにはずらりと日本酒が並んでいる。このギャップが面白い。
生田守さんは、しっかりと和食の修行をした上で、大手飲食店グループ内での異動も含めて、中華以外のさまざまな業態店を経験。日本料理の枠にとらわれない自由な発想での創作和食が得意。モダンな西洋文化を取り入れ、食にも新しい文明開化の波が押し寄せていた明治時代(明治44年)に造られた日本橋を見ながら、現代の新しい和洋折衷文化である創作和食をいただくのは、歴史ファンならずとも感慨ひとしおだ。
そんな生田さんが、「ル・ヴァル シャルドネ」に合わせて用意してくれたのは、意外にも伝統的な和食である「ギンダラの西京味噌焼き」。京都・丹波で、昔ながらの伝統的な製法を守って製造している「京丹味噌」の手作り白味噌をベースにみりんやお酒を合わせて作ったオリジナル西京味噌だれは絶品。「ル・ヴァル」と合わせることで、西京味噌の甘さがさらに際立ち、さらにはギンダラの脂分を流してくれる。
「ル・ヴァル カベルネ・ソーヴィニヨン」には、「牛ハラミ肉の朴葉味噌焼き」を合わせる。牛ハラミは、肉の旨みを最大限に引き出すために、少し寝かせてから提供している。スモークをかけるように炭火焼でじっくり焼き上げることで、旨みを逃さず、香ばしさを出している。力強い「ル・ヴァル」の味わいにはぴったり。お互いの旨みを引き立てあう。
今回、生田さんは、白、赤ともに、味噌焼きを用意してくれたのだが、ワインと味噌がこんなに合うとは、想像以上だった。得意の創作和食ではなく、伝統的な和食、しかも郷土料理に合わせてくるあたりが逆に意外性があり、感動的でさえある。「ル・ヴァル」が白赤ともに、繊細でありながらしっかりした味わいだからこそのマリアージュ。経験豊富な生田さんならではの真骨頂だ。
WEBSITE
03-3516-3111
平日11:00~14:00 16:00〜23:30
土日11:00~22:30
不定休
代官山の日本料理店で修行を積み、その後、さまざまな業態を経験。和食をベースにエスニックやフレンチなどの技法、エッセンスを加えた創作系料理が得意。