カスレにシャンパーニュは、全然アリ
本格的な夏の到来ともに、きりりと冷えたシャンパーニュが恋しくなる。開放的なテラスで味わえば、おいしさもひとしお。まぶしい陽射しを受けて黄金色に輝くフルートグラスは、夏の風物詩だ。
今年で37年目を迎える代官山のフランス料理店「レストラン・パッション」でも、この季節は緑に囲まれたテラスが得特席になる。
「ご存じの通り、フランス人は外で飲むのが大好き。外国人のゲストも多く、昼間はテラスをご指定の方も多くいらっしゃいます」と、総支配人のパトリック・パッションさん。父はフランス人シェフとして日本に本格的なフランス料理とレストランのあり方を伝えてきたアンドレ・パッションシェフ。現在は偉大な父の右腕となり、より広い世代にその神髄を伝えるべく店に立ち続けている。
シャンパーニュは希少なバックヴィンテージを含め30アイテムをそろえるが、パトリックさんが「アペリティフはもちろん、前菜、メインディッシュまで通して食中酒として楽しめる」と、推すのが世界70カ国で愛されるシャンパーニュメゾン、ジャカールの「モザイク・ブリュット」。
「フルーティーなアロマが豊かで、アタックは力強く、エレンガント。あらゆる料理に寄り添い、リズムを付けながら、味をより一層高めてくれます」
「レストラン・パッション」のスペシャリテといえばカスレ。豚や羊、鴨肉と白いんげん豆の煮込み料理は、パッションシェフの故郷・フランス南西部を代表する郷土料理でもある。
「セオリー通りならマルベックなどタニックな赤ワインを合わせますが、上質なシャンパーニュとの相性もまた格別。ふくよかさと長期熟成による複雑味が、濃厚な料理にもしっかりと寄り添ってくれます」
豚や鴨肉を個別に下処理、火入れし、仕込みから完成まで丸5日。手間暇を惜しまぬ調理法は、シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエそれぞれの個性を生かした醸造を行い、調和させ、長期間熟成を経て完成させるジャカールのシャンパーニュ造りにも通じている。