イベリコ豚とキノコのパエリアで行こう
そのワインの名は『ドン・ロメロ』。和洋折衷で訳すれば「ミスター巡礼」。カタルーニャ生まれのこのワインは、巡礼者に敬意を表して名づけられた。
さあ、私たちも巡礼の旅に出よう。美食とドン・ロメロの幸せな冒険へ!
今回の巡礼地は東京・日本橋。話題の日本橋高島屋S.C.に出店した『ミゲルフアニ』。層のぶ厚いスペイン料理界において若手トップ料理人の一人と評されるパコ・ロドリゲス氏がプロデュースするレストランブランドだ。
ルーツを辿れば1988年、パコ氏の父ミゲルさんと母フアニさんがその名を冠した「レストラン ミゲル イ フアニ」を地元バレンシアに開業したことに始まる。両親の自慢はバレンシア名物の米料理。なんといってもこの地のスペシャリティは、源流となるウサギや鶏肉を使った薪で焚く山や畑のパエリアだ。
このレシピを忠実に守り、パエリア職人世界一を決定する「スエカ国際パエリアコンテスト」においてパコ氏は2014年、王座に就いた。パエリアは彼の誇りであり、腕の実証であり、なによりもパエリアが生む幸せな世界を広げるためのパスポートなのだろう。
「伝統を重んじながら革新を恐れない。それは日々のお客様への最高のサービスと考えています。日本の皆様に私のパエリアを食べていただけるのは何よりの喜びです。お勧めのスパニシュワインでサルー!!」
それが氏のメッセージ。それでは早速応えよう。
まずは前菜。魚介と野菜のマリネ「魚介のサルピコン」。同店マネージャーでソムリエの有馬玄徳さんがあわせたのは「ドン・ロメロ ブランコ」。単なる酸味だけではなく、ピメントやコリアンダーなど複雑な要素もからむ料理との相性はいかに。
「青リンゴのようなテイストやミネラル感で料理全体をまろやかにしながら、後味の余韻をスッキリさせてくれます。一口食べて、一口飲んで。
止まらない?
そうかもしれませんね(笑)」
続いてこの店のスペシャリティのひとつ、スペインの北西部、ガリシアの名物料理「タコのガリシア風」。
「カヴァのフレッシュな酸が旨みの強いタコに上質なレモンを絞るような感覚で楽しめる組み合わせです」(有馬さん)
なるほど、スッキリした味わいだが余韻に旨みと甘みが心地よく残る。これも止まらない組み合わせだ。
さあ、いよいよメインのパエリア。「ドン・ロメロ カヴァ・ブリュット・ロゼ」と「イベリコ豚とキノコのパエリア」で行こう。
シンプルに見えてイベリコ豚の脂の甘み、旨み、さらにしめじ、エリンギ、マッシュルームの風味もしっかり米に移り、奥深く、何よりも胃袋がときめくパエリアのお出ましだ。さすが世界王者のレシピ。
カヴァ・ロゼを合わせた理由は「イチゴやラズベリーのチャーミングなニュアンスが、旨みや風味を残しながら素敵に手を取り合ってくれますし、脂の旨みともマッチして味を引き立てますね」(有馬さん)
チャーミングな香りと飲み口のおかげでたくさん食べても罪な気持ちが起こらないのがうれしい。
満腹、満足。今宵はここまで。さあ、ドン・ロメロ、ミスター巡礼とともに、次はどんな食とワインの冒険に出かけようか。
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