ケンゾー、ナパに本物の日本料理店をつくって
「ケンゾー、このナパに本物の日本料理店を開けるのはあなたしかいないわ」
昨年亡くなったマーグリット・モンダヴィさんは、辻本さんにつねづねこう語っていたという。マーグリットさんは、近代カリフォルニアワインの父、故ロバート・モンダヴィさんの夫人。
戦後の一時期、日本に住んでいた経験があり、知日家として有名だ。そんな彼女の期待に応えるべく、昨年11月、ナパのダウンタウンにオープンしたのが「Kenzo」。奇をてらうことなく、オーセンティックな懐石料理と寿司を提供する日本料理店である。
水は当初、日本からわざわざ空輸していたが、ワイナリーの湧き水が美味しいとわかってからというもの、出汁を引くにもワイナリーの水を使用しているという。突き出しで出された白和えのワラビもワイナリーに自生しているもの。朝方、料理長自らワイナリーへ赴き、摘んできたのだとか。
もちろん、ここではケンゾー エステイトのワインが全種類グラス一杯から提供され、料理に合わせたペアリングコースも複数用意されている。
残念ながら、心待ちにしていたマーグリットさんはオープンの2カ月前に他界されたが、ここにはナパの名だたるワインメーカーやオーナーが訪れている。ここがナパのランドマークになる日も、そう遠くはないだろう。