和牛を知り尽くしたスペシャリストの集大成
東京 西麻布のレストラン『The INNOCENT CARVERY』は、1993年に「ちゃんと。心斎橋店」を創業した岡田賢一郎氏がシェフをつとめる和牛の専門店。店舗は、入り口はいってすぐが、名だたるブランド牛がならぶセラー、そしてお肉のテイクアウトも可能な西洋スタイルのブッチャースペース。そこからカウンター、そしてレストランとつづく。
このたび、このThe INNOCENT CARVERYの、わずか10席しかないカウンター席WAGYU LABOにて、ブランド和牛づくしの特別なコース、「LABO MENU」が登場した。
時期等に左右されるものの、常時7-8産地、15部位ほどの候補から、岡田氏がセレクトし、かつ、エイジングを経て、「いちばんいい状態」にある和牛を食べることができるのは、このレストランならではの特徴だけれど、LABO MENUでは、その和牛にとことんフォーカスし、食べ比べることができるのが特徴。たとえば、おなじもも肉といっても、佐賀牛と花乃牛ではどうちがうのか、エイジングとは、部位のちがいとは、和牛ならでは脂の質と融点とは? 知りたくはないだろうか。LABO MENUでは、岡田氏がめのまえで調理する和牛を、実際に食べて、「研究」できてしまうのだ。
WAGYUステーキタルタル
そして、このWAGYU LABOコースのメインディッシュをしめくくるのが、タルタルステーキ。「和牛のいちばんの武器は、お刺身でたべられちゃうこと」と岡田シェフはいう。
和牛は、グレインフェッド、つまり穀物を食べてそだつがゆえ、脂がのる。そのうまみ、そして脂の溶ける温度、融点の低さに強みがあるというのだ。
もちろん、和牛の脂でも、人の体温で融けない脂は、消化しづらい。しかし岡田氏のセレクトする和牛の脂は、12℃や20℃といった、低温で融けだす。
WAGYU LABOのタルタルステーキは、この融点のひくい脂ののった牛肉のうまみを引き出した一品。
ワインは、牛肉を邪魔せず、かつ、和牛の育つテロワールと、もっとも相性がいいのは、やはり日本のワインという観点から、日本ワインがおおくセレクトされているのもポイント。前菜からメインまで、1品につき1種類のワインが添えられる。
とくにタルタルステーキとワインとの相性は、すでにLABO MENUを体験したワインラヴァーたちをとろけさせている。
レストラン体験は予約するところからはじまり、気持ちよく食べて、気持ちよく家路につき、そして、あのときはおいしかった、とおもいだしてもらえれば理想的、という岡田シェフ。カジュアルな空間でわいわいと和牛食べ比べを楽しむのも、もちろん可能だけれど、カウンターで和牛とむきあう時間は、また特別だ。