アラスカシーフードが注目される理由
今、シーフードの宝庫として世界的な注目を集めているアラスカ。アメリカ合衆国49番目にして最大の州で、日本の約4倍の面積を誇る。
州全土の34パーセントが国立公園や国立野生保護区に指定され、「アメリカ最後のフロンティア」と呼ばれるほど、緑と水に恵まれた自然豊かな土地なのだ。肥沃な大地から流れ込んだ栄養分により湾には豊かな生態系が保たれ、同国で水揚げされる水産物の55パーセントをアラスカ州産が占める。アラスカシーフード最大の特徴は、100パーセント天然であること。そのため、魚から甲殻類までしっかり身が引き締まり、臭みがなく旨みが詰まっている。雄大な自然に育まれた魚介がおいしいのは当然のことながら、さらに高い信頼を置かれている理由は、その安全性にある。
まず、アラスカでは餌に抗生物質などを使用する養殖漁業が禁止されており、鉱業、林業、建設業でも海洋環境に悪影響を及ぼす廃棄・排水の規制を強化。海洋環境への高い意識を持ち、日本からも視察に訪れるほどの漁業先進地として知られているのだ。
格上げ「贅沢鍋」 その成功の秘訣とは?
さて、続いては豊かな自然の恩恵を享受する実践編。今回「ワインホワット!?」編集部が、アラスカ産の天然ズワイガニとともに駆け込んだのは、これまでにも和食×ワインの可能性を誌面でたびたび指南してくれた、有楽町の日本料理店「和の旬 輝咲」。コースからアラカルトまで、産地直送の地魚を刺身や炭火焼きで供する同店。当然、店主の伊藤輝彦さんはシーフードに厳しい目を持つ。
「まずは大きさに驚き! そのうえ身がぎっしり詰まっていて、食べごたえも十分。これなら自宅でも豪華な鍋ができますよ!」と、アラスカ素材と対面した第一印象を語る。見事な体躯のズワイガニに、カニの真薯をプラスして食感・風味に変化をつける。野菜は、白菜や水菜など淡い風味ものを合わせ、主役を引き立てることに徹する作戦のカニ尽くし鍋が完成した。
「ポン酢などを使うより、かつお出汁と醤油、みりんでベースをしっかり作っておくのがオススメ。そうすれば、力強いカニの旨みに野菜の甘味が混然となったスープごと楽しめます。定番の雑炊だけでなく、スープで締めるというのも、この素材なら大いにありですね」。
ふっくらプリッとしたカニ肉を口いっぱいに頬張れば、心地よい歯触りに甘やかな風味、鼻腔に抜けるリッチな香りまで、大満足の一言。なんと贅沢なひととき……ならば、やはりワインがほしくなる。
ワインペアリングのコツは?
店主からのバトンを引き継いでくれたのは、日本酒からワインまで、同店で料理とのきめ細やかなマリアージュを提案してくれる、奥様の久美子さん。用意したのは、ブドウ品種の個性をストレートに表現し、バラエティも豊富な家飲みワインの決定版、チリを代表すワイナリー、コノスルの「ヴァラエタルシリーズ」だ。
「鍋は、囲む人とともにじっくり時間をかけて味わうものだから、フルコース感覚で品種別に何種類か用意してみるのもいいですね。すっきりしたソーヴィニヨン・ブランでスタートして、ぐつぐつ煮えて素材それぞれの味わいが溶け合ってきたら、ボリュームのあるシャルドネに移行する。旨みが凝縮された後半戦や締めの雑炊、スープのときは、ピノ・ノワールのロゼもOK。酸とミネラルがクリアなタイプを選ぶのがポイントです」。
料理の腕に自信がなくても、気軽に楽しめるのが大いなる鍋の魅力。今年からは、美しいアラスカの海からの贈り物を味方につけて、鍋レベルを一挙バージョンアップしよう!
和の旬 輝咲
東京都千代田区有楽町1-2-9有楽町小川ビル6F
☎03-3707-6555
営業時間○11:30~14:00(13:30L.O.)/17:30~23:00(22:30L.O.)
休日○日・祝日
お知らせ
今回、取材にご協力いただいた「和の旬 輝咲」さんではアラスカシーフードの食材を使ったお料理を2月20日から3月末までの間、期間限定で味わえます。ぜひ、みなさんもアラスカシーフードの真の美味しさを実食してください。