8) 乃木坂 鳥幸
特上レバーをジンファンデルで
特上レバー(420円)×C. G ディ・アーリ ジンファンデル シエラ・フットヒルズ (ボトル8,000円)
目玉商品の特上レバーはミディアム・レアでとろけるよう。部位によって、生醤油、甘ダレなど4種類のタレを使い分けているけれど、特上レバー用はどろっとして甘みがある。「タレの甘みとジンファンデルの甘みを合わせたい。アマローネもオススメ」とソムリエでもある徳山店長。
ミシュランからB級グルメまで、国内47店舗、海外4店舗を展開する「日本レストランツファクトリー」。その高級焼き鳥部門である「鳥幸」は、2011年11月にこの乃木坂店からスタートした。
現在8店舗に拡大で、6月にはニューヨークにも進出する。成功のカギは「世界観にある」とソムリエで店長の徳山豪さん。
モクモクした焼き鳥屋さんが多いなか、白木のカウンター、割烹着に鉢巻、足袋と雪駄姿の店員さんがいなせにお迎えする。和の空間の壁の棚には遠藤利三郎商店監修によるワインが70種類以上。流れる音楽はジャズ。これぞクール・ジャパン。会食、デートによし。今宵飲むべきワインはソムリエと相談してオシャレに決めたい。「JAPAN QUALITYを世界に発信して日本のファンをつくる」と意気込む会社だけあって、インバウンド向けの動画もある。
根津 焼鳥 照隅
比内地鶏をピノ・ノワールで
だきみ(432円)×ミシェル・ゴヌー ボーヌ 2011(ボトル9,000円)
ささみから入る焼き鳥のコースは多いけれど、照隅ではあえてジューシーな胸肉を1本目に。寒い秋田で長期飼育される比内地鶏ならでは良質な脂に、ピノ・ノワールの滑らかさ、やさしい感じが調和して最高のマリアージュに、とピノ・ノワール好きの杉本店主。旬の北海道産山わさびはじつは写真映えで。
グルーブ感をどう出すか
店主の杉本浩一郎さんは学生時代、ヒップホップのバンドを組んでいて、卒業後はグルーブ感のあるハコを自分でやりたいと思った。でも個人では無理、グルーブ感のある飲食店、好きな焼き鳥の店をやろう、と決意。当時、地元の荒川区町屋の赤ちょうちん「分福亭」でバイトをしていたこともある。
たまたま先輩が神保町の焼き鳥の名店「蘭奢待」で働かないか、と誘ってくれた。5年、鶏のノウハウを学び、1年イタリア、インド、香港を旅行、帰国してイタリア料理店で短期間働き、地元に近い下町根津に2015年4月に開業した。季節の食材と焼き鳥で、どうグルーブ感を出すか、どう美味しく食べてもらうかを思案し続けている。
3月からワインスクールにも通い始めた。
焼き鳥 床島
うめしそをカベルネ・フランで
うめしそ(350円)×シャルル・ジョゲ シノン レ・プティット・ロッシュ 2013(ボトル5,000円)
1羽丸ごと捌くから珍しいメニューがあるけれど、今回はワインとのマリアージュを意識して、一番淡白な部位のささみに梅のソース、上に大葉をのせて人気の「うめしそ」を。うめしその梅のプラム感と大葉のグリーンな感じが、カベルネ・フランのグリーンな感じと果実感と同調する、と店主の床島さん。
フランス血統の鶏を丸ごと
2002年にオープンした居酒屋から現在の焼き鳥屋スタイルにリニューアルしたのは2010年7月のこと。テーブル席だと「焼き鳥のライブ感が伝わらなかったから」とご主人の床島正一さん。焼き台が目の前にあれば、説明はいらない。
食鳥処理衛生管理者の資格を持ち、茨城県産のフランス血統の鶏を丸ごと仕入れ、お店でさばいて希少な部位まで余すところなく使う。炭は紀州備長炭と中国産を併用する。中国産だと焼きの技術が必要だけれど、炭焼き職人の超高齢化で貴重な紀州産をより長く使うための配慮だという。
「串に刺して火で炙った肉を手で食べるのは人類の祖先からやっていたこと。人間の本能に根ざしている」。だから焼き鳥は毎日食べても飽きない! 理論派の焼き鳥とワインは三軒茶屋にあり。