鴨とワインが楽しめる店 その2
喜鈴 (きりん)
「鴨がネギを背負ってくる」というフレーズがあるが、「鴨がネギを背負ってきたところに、中国料理世界大会の金賞受賞者がやってきた」となると、幸運の三重奏、展開が変わってくるかもしれない。恵比寿の焼鶏「喜鈴」のカウンター奥には、中国料理店で23年間腕を振るってきた金メダリスト、出田貴幸の姿が。
彼の手に委ねられたアメリカン・ダックは、さてどう調理される?
店では丹波黒鶏や大山鶏など、使う部位によって鶏の種類を変えている。鴨も扱うが、冬季限定。アメリカン・ダックであれば、安定した品質のまま冬だけでなくオールシーズン堪能できる点を、出田シェフは高く評価する。第7回中国料理世界大会の前菜部門に出場した出田シェフは、このとき鴨チャーシューもプレートに盛り込んだという。
そこで、金賞の鴨チャーシューをアメリカン・ダックで再現。甘めのタレで焼いたチャーシューを白ネギとともに口へ放り込むと、ダントツにやわらかい。「薄切りにして、より食べやすくしています」と出田シェフは説明するが、絶妙な火加減だからこそ、チャーシューはふんわりと喉奥へ消える。
天才的な火入れの技は、鴨ネギの串焼でもいかんなく発揮。鴨もネギも香ばしく、少し噛むだけで鴨の肉汁がジンワリ。これはもう、ワインを飲まずにいられない。
「喜鈴」はワインの揃えが充実した焼鶏店としても知られる。常時50種ほど用意され、グラスワイン(900円~)も白、赤3種ずつ。金メダリストの鴨ネギとワインで、勝負時の食は決定だ。
アメリカン・ダックとネギの串焼 420円
中国料理出身の出田シェフが焼鶏屋へ転身を果たした理由のひとつは、「カウンター越しにお客さんと直接やりとりできるのが楽しいから」。中国料理の技で捌いたアメリカン・ダックが丁寧に炭火で焼かれる様を眺める客側も、また楽しい。
右 ケンゾー・エステイト 結 2017
bottle 12,000 円(helf 6,000円)
左 マルティン・ヴァスマー マルクグレーフラーラント シュペートブルグンダー 2014
bottle 5,800円
小石高運店長は客の希望に沿うよう、幅広いワイン・セレクションを心がけている。串焼はコースで提供するので、「塩やたれで1本毎に味が大きく変わり、ボトル1本で通すのはなかなか難しいですが、ロゼならOK」。甘めのタレが効いたチャーシューには、「果実味あるピノ・ノワールを」とお手頃なドイツ産を挙げた。
アメリカン・ダックの炭焼チャーシュー 580円
白ねぎが添えてあり、こちらも“鴨ネギ”の流れに。店で「大山鶏の炭焼チャーシュー」として提供してきたメニューを応用した。鶏、鴨、軍鶏と万遍なく扱ってきた出田シェフだが、「アメリカン・ダックに近いのは、やはり鴨より鶏でしょうか」。
喜鈴(キリン)
■東京都渋谷区恵比寿西1-8-10 EBISU高橋ビルB1F
tel.03-6427-8437
■月曜~木曜、土曜 17:00~24:00(L.O.23:00)、金曜 17:00~25:00/日曜 17:00〜23:30(L.O.22:30)
■無休
アメリカン・ダック問い合わせ先:アメリカ家禽鶏卵輸出協会(USAPEEC)