かきだからって、白ワインとは限らない
ブーダン・ブランをご存知だろうか。ひき肉、卵、パン粉、牛乳を原料に、時にはキノコ類を使った腸詰だ。フランスやベルギーでよく食される。
そのブーダン・ブランを今が旬のかきと合わせたユニークな料理が今回の主役だ。レストランローブのブーダン・ブランは、豚と鶏の合挽きにトリュフを加える。リッチな味わいが特徴だ。かきは海水を水でのばして火を優しく入れた。どちらも一口大に切り、交互に並べ、セップ茸のサバイヨンソースをかける。
サバイヨンソースはエスプーマで作っているので、味わいは軽やかだ。
さて、この料理に石田氏は何を合わせるのだろう。かきというと真っ先に思いつくのは白ワイン。特にシャブリとの相性の良さは、よく知られるところだ。
「確かにかきは海のミネラルをたっぷりと吸い込んでいるから、シャブリのような白ワインは順当です」と石田氏。「ローブでは昨年、かきとチョリソを合わせた料理を出していました。この場合は赤ワインになります。ボルドーはかきの養殖で知られるアルカションが近い港町ですから、かきをよく食べます。白ワインも生産されていますが、楽しまれているのはやはり赤ワイン。辛味のきいたソーセージと一緒に食べることで、赤ワインとのよい相性が生まれるのです」。
なるほど、組み合わせる食材で選ぶワインも違ってくるというわけだ。では、今回はどうなのだろう。
相性の良い組み合わせには、ストーリーもついてくる
「いろいろと考えてみましたが、ボルドーを超える相性にはなかなか辿り着けませんでした。
そんな折、『ワインホワット!?』でヴィンテージシャンパーニュをテイスティングしていて発見したのです。
シャンパーニュは熟成することで、泡立ちはクリーミーになり、セップ茸のような香りが出てきます。今回の料理にはセップ茸のサバイヨンソースがかけられます。まさにヴィンテージシャンパーニュのテクスチャーと香りがぴったりなのです」。
石田氏が選んだのは、ランソンの2005年。
そういえば、シャンパーニュが生まれた時代、宮廷ではかきとともに楽しまれていたという。このペアリングには、風味としての同調とともに、ストーリーも付いてきた。さすが、奥が深い。石田マジック、極まれり。
石田博プロフィール
合同会社Soupless代表、レストランローブ ソムリエ、社団法人日本ソムリエ協会 副会長。
1969年生まれ。数々の国内ソムリエコンクールを優勝。2000年には、第10回世界最優秀ソムリエコンクール第3位。2011年 厚生労働省 現代の名工、2014年11月 内閣府 黄綬褒章受章。同年 第7回全日本最優秀ソムリエコンクール優勝。2015年アジア・オセアニア 最優秀ソムリエコンクール優勝。2016年第15回世界最優秀ソムリエコンクール セミファイナリスト。
RESTAURANT L’aube
レストラン ローブ
東京都港区東麻布1-17-9 アネックス東麻布2F
TEL 03-6441-2862
contact@laube.tokyo
http://www.restaurant-laube.com/
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