シチリアワインを世界に知らしめたワイナリー
プラネタは1996年、濃厚芳醇なシャルドネを掲げて突如してあらわれ、瞬く間に「比類ないシチリアワイン」という世界的評価を獲得した、シチリアワインのポテンシャルを世界に知らしめたワイナリーである。
この鮮やかな登場の背景には、1985年に発足させた「シチリア・プレミアムワイン・プロジェクト」があった。
そもそもプラネタ一族は、5世紀、17世代にもわたってシチリアにおいて農業やワイン醸造に携わってきた家柄である。しかし、1980年代までシチリアは「これぞシチリアを代表するワインである」といえるアイテムを見いだせずにいた。
「素晴らしいポテンシャルを秘めた産地であるにも関わらず、未だ代表的なワインをもたないシチリアにプレミアムワインを!」と、このプロジェクトを発起したのは、プラネタ一族の長ディエゴ氏である。意外にも、一族の中からそのプロジェクトの全権を委ねられたのは、フランチェスカ、サンティ、アレッシオの、社会に出たての若者たちだった。これはディエゴ氏の、「すべて若者の感覚に委ねる」という英断だった。そしてその判断は、見事に図に当たった。
3人はその後も、シチリアのポテンシャルを次々に発掘していく。
シチリア各地の可能性を発掘
シチリアは、島とはいいながらその範囲は広大で、土壌や気候は各所においてさまざまなヴァリアントがある。
そして、それぞれのテロワールにおいて適地適種の地元品種のぶどうが存在し、それぞれの地域独自の醸造技術をもって、ユニークなワインが造られてきた長い歴史がある。
この背景には、シチリアが地中海の交通の要衝であったことが深くかかわっている。中東、アジア、ヨーロッパ、アフリカと、古来、地中海を行き交ったさまざまな文物が、シチリア各所に痕跡として残り、食文化や民俗風習に独自の影響を及ぼしているのだ。
プラネタは「この一様でないシチリアの文化を表現するには、島の各所にワイナリーを作り、その土地ならではのワインを造らなければならない」として、現在、シチリアのメンフィ、ヴィットリア、ノート、エトナ、カーポ・ミラッツォノ地域に、ワイナリーを展開。それぞれの地域で「サスティナブルは目指すものではなく、当然おこなうもの」というフィロソフィーを実践している。その象徴が、サスティナビリティーを明確に示すトレードマークロゴ「プラネタ・テッラ」だ。
また、使用した資源を、地球環境の本来あるべき自然なサイクルに戻すイタリア初のプログラム「ソステイン」にも参加。
このように、さまざまな配慮をもって運営される各ワイナリーでは、地域の伝統、文化、自然環境や生物の多様性が守られながら、土着品種の研究によって原産地のアイデンティティーの確立や、新たな可能性の開花が促されている。
これぞまさしく、持続可能なワイン産業の実践といえるだろう。
プラネタ エトナ・ビアンコ
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「サスティナブルワインのある生活」