《「冷徹の虎」の眼批評》
1年間の有休が8週間もあるイタリア、小学校の給食にフランス料理がフルコースで出されるフランス、宿題という制度がない学力ナンバーワンの国フィンランド……そういった羨ましくも、驚くべき事実が次々に紹介される。
ぼくは経営者なので、こういう映画を見ると、つい自分の会社にあてはめて考えたくなる。
もっとも印象に残ったのは、アイスランドの金融危機のときの話だ。ようするにあれは男がやっていたから起きた(!)というのである。
金融国家としてわが世の春を謳歌していたアイスランドは、2008年のリーマン・ブラザーズの破綻から始まった金融危機の影響をモロに受けてバブルが弾け、国家破綻寸前にまで追い詰められた。国内の銀行はほとんど国有化されることになった。でも、たった一行だけ、生き延びることができた。
なぜ、そんな奇跡が起きたのか? その銀行は女性が経営の実権を握っていたのだ。男は野心的かつ自己中心的で、自分の利益の追求のためには一攫千金のリスクをとりたがる。一方、女性は総じてリスクをとりたがらない。子供の子育てのために協調を選び、利他的だというのだ。
これはまったく南原DNA理論にも合致している。小学校のときに乱暴者だったヤツは大人になっても乱暴者だ、というぼくの理論である……。
アイスランドでは女性の進出がすごくて、議会も40パーセントを女性が占めている。
翻って、ともかくこれをウチの会社に当てはめてみよう。ウチの取締役会は男だけで、女性はひとりもいない。これは恐ろしいことだ。しかも、ナンバラ社長は男性ホルモンの塊みたいな男で、なにかと勝負したがる。そして大損してしまう。
一刻も早く女性を登用すべきだ。しないと、ウチの会社も100年後はない!
イタリア人の働き方にもびっくりだ。2時間もかけてお昼ごはんを食べている。でも、それで仕事の能率が上がるのなら、けっこうなことだ。1年間に8週間も有休があってイタリア人は遊んでばかりいるのに、イタリアはフェラーリをはじめとして、あんなにすばらしい製品をつくっている。
まったく考えさせられる。
この映画は、会社経営者は絶対に見るべきだ。
知らないことを本を読んだりするのは勉強になるけど、この映画はそれ以上に知らないことがいっぱい手に入る。すごく面白かった。経営的観点からも気づきがいっぱいあった。マイケル・ムーア、ありがとう!
ベトナム、レバノン、アフガン、イラク、シリア、リビア、イエメン……。これまでの侵略戦争の結果、まったくよくならない国アメリカ合衆国。米国防相の幹部らは悩んだ挙句、ある人物に相談する。それは、政府の天敵である映画監督のマイケル・ムーアであった。新たな侵略政策。それは、ムーア自らが“侵略者”となり、星条旗を掲げて空母ドナルド・レーガンに乗船、大西洋を渡って最初のターゲット、ヨーロッパへと向かう。目的は、各国のジョーシキを略奪し、アメリカに持ち帰ること。しかし、その先には驚愕の事実が待ち受けていた……。ムーアお得意の超過激なアポなし突撃取材ドキュメンタリー映画の新作。
《あらすじ》