検証3 皮
首の皮と首の肉を交互に刺してある。奥久慈軍鶏は脂の少ない鶏だけど、今日のは雌なのでいつもよりはちょっとだけ脂がのっている。脂がもともと少なめなので焼き過ぎは禁物だが、香ばしさと首の肉の肉汁を得るには片面だけしっかり焼くことが大事。
焼き鳥では基本の一本
タンニンのシルキーと皮の旨味に注目
土田 皮にどんなワインを合わせたらいいのか、ワクワクしてる。焼き鳥って脂と香りだから、一筋縄ではいかなそう。
柳 逆にさっぱり系でぬぐうか。むむ、赤ワインでもいけるんじゃないですか?
柳 これ、山椒ふってます?
和田 ふってます。
太田 ワインが進みすぎる危険な組み合わせですね。
瀬川 ジゴンダス(7)もすごく合います。スパイスやハーブなどいろいろ複雑なニュアンスがありますし、滑らかなタンニンが皮の脂を穏やかにまとめてくれました。バター・シャルドネ(4)は皮の脂と合間って、スーパーリッチで私にはトゥーマッチな感じ。ボリューム感が好きな方にはよいかもしれません。
土田 私はこのシャルドネとの組み合わせ、好きですよ。
和田 サンジョヴェーゼ(3)もいいでしょ。焼いた肉の香ばしさと合います。
太田 ええ。タンニンのシルキーさが皮の旨味に入り込んで、お互いボリュームを保ちながら余韻にぐんと広がるり、よい組み合わせですね。それからゲミシュターサッツ(2)も皮の脂肪分をうまく切りながら、焼き目の香ばしさとワインのホロ苦味がうまく調和してくれました。
柳 ふつう脂には渋みのある赤ワインで調和をとりがちだけど、この場合、比較的まろやかなワインとの相性のよさが発見でしたね。こちらの皮の脂がギトギトじゃないところがポイントかもしれないけれど。
和田 うん、僕の持論だけど、和食に渋みの強いカベルネ・ソーヴィニヨンは難しいと思う。その点、瀬川さんの選ばれたサンジョヴェーゼ、メンシア(8)はどちらもいいね。
皮×10本採点結果の上位2本
検証4 ハツ
奥久慈軍鶏の心臓。英語のHeartが転じてハツと呼ばれる。バードランドでは内臓のかすかな癖を抑えるため、エストラゴンを漬け込んだ米酢を刷毛で塗ってから焼き上げる。強めの近火で一気に火を通し、中はミディアムレア。
肉の食感が命のハツ
ワインのねっとり感とのバランスを
太田 ですね。咀嚼した時のハツのコリッ、ムニッとした食感と、ゲミシュターサッツのアタックのねっとり感とがよくバランスしてます。安心して楽しめる組み合わせで、よいペアリングだと思いますね。赤ではサンジョヴェーゼ(3)。ワインがもつ土系のフレーバーが際立ってきて、炭の香りも際立ってきて、お互いのいいところを引き合わせています。ジゴンダス(7)の甘苦系のスパイスのニュアンスもハツにはマッチしてますね。
土田 ほんらい筋肉で脂っ気のないハツなのに、ここのハツはいい感じで脂がのってる。これも和田さんのマジックかな。それで、あまり難しいことを考えずに楽しめたのはバター・シャルドネ(4)。ハツの脂っ気とトロリとしたテクスチャーがうまい具合に調和してました。
瀬川 私もそう思います。オイリーな口当たりのワインでボリューム感もあり、ハツの滑らかな肉質と旨味にきれいに同調しますよね。ただ、トロピカル感が強すぎるかな。
和田 僕の一押しはテラ・モントーサ(5)。ハツのもってる旨味と、温度が上がってきたのも一因だけど、テラ・モントーサのほのかな甘みがうまく合ってる感じがします。それからゲミシュターサッツ(2)ね、これは僕も合うと思いました。混植混醸からもたらされる微妙な複雑味が、ハツの旨味を引き出してくれるんですね。
ハツ×10本採点結果の上位2本