検証1 わさび焼き
一般的なささみではなく、運動して旨味ののった胸肉を使用。うす塩で焼き、たたき状態ではなく、しっとりとした焼き上がりにして、旨味を引き出す。仕上げてに下ろした伊豆のわさびをのせる。
デリケートな香味との相性と
繊細な身質を生かすワイン選びは難しい
柳 まず最初にわさび焼きです。部位は胸肉ですね。これは一押しというワインがあったら宣言してください。全員で検証してみましょう。
土田 あっ、私のお肉がもうない。
柳 早っ!
土田 だって美味しいから。
柳 仕方がないな~。(土田に残っていたわさび焼きを譲る)
瀬川 私の担当は赤3種とこってりしたシャルドネ(4)だったので、どれも難しかったですね。ワインが繊細なお肉の風味を消してしまって。わさびのもつデリケートな香味との相性も意識して試しましたが、赤ワインのスパイシーさとはまたスパイスのニュアンスが異なるので、なかなか難しいと感じました。
太田 僕もサンジョヴェーゼ(3)、ジゴンダス(7)、カルムネール(6)と3種類の赤ワインを試しましたが、すべて難しかった。瀬川さんと同じく、お肉の繊細な身質を台無しにしてしまう。僕が選んだゲミシュターサッツ(2)もワインのほうが重く感じた。このわさび焼きに合わせたいと思ったのは、ここにはないクレマン・ダルザス。泡の刺激が欲しくなりました。
柳 プラーガーは意外と肉厚なんですね。僕はクラウディ・ベイのソーヴィニヨン・ブラン(9)もよいと思いました。ハーブ系の涼やかな香りがワサビとマッチして。逆に香りが強すぎるというご意見もごもっともですが。
わさび焼き×10本採点結果の上位2本
検証2 レバー
餌や飼い方など鳥の育ちが一番出てしまう部位。時間をかけると臭みが出て、苦味まで感じられるので、強火でパッと焼かないと美味しくならない。ふつう、レバーといえばタレ焼きだが、タレ焼きにするとレバーの風味をすべてマスキングしてしまう。これは塩をふり、途中で醤油とバルサミコをひと刷毛、最後に黒胡椒をかけている。
癖をいかに押さえるか
調理法の違いも大きく影響
柳 次はレバーです。和田さん的にレバーは赤? 白?
和田 う~ん、一番はロゼかな。
柳 今回、ロゼのエントリーはタブーにしたのですみません。
柳 果実の甘みが気になりませんか?
太田 そこは温度の調節でなんとでもなりますよ。このワインがもつピラジンのスパイシーさが、味わいに抑揚をつけて、余韻まできれいにつながります。
和田 僕も自分自身驚いた。けれど、癖の少ないレバーだからで、一般の癖が強くて濃いタレをつけたレバーだったら、こうはいかないでしょう。
瀬川 シャルドネ(4)は最初合わないと思っていましたけど、フォワグラにソーテルヌを合わせるような感覚で、このボリューム感がよく調和します。今回、レバーに合わせてメンシア(8)を提案しましたが、和田さんがおっしゃるとおり、このレバーにはワインの方が強かったかもしれませんね。
太田 ゲミシュターサッツ(2)はレバーの血っぽさが際立って、この風味がダメな人にはアウトかな。ジゴンダス(7)も悪くない。タイムやローズマリーのようなフレーバーが、アクセントとして働いてくれたと思います。
土田 シャルドネ(4)も面白い。レバーを嫌いな人たちが抱くネガティヴな風味を包み込んでくれるから。でも、もっとよかったのはテラ・モントーサ(5)。レバーの余韻をポジティヴに堪能できたので。
レバー×10本採点結果の上位2本(2位は同点)