
ダウンヒルへ
ちいさなホテルだから、宿泊のあいだ、山﨑さん、岩﨑さん、吉越さん、そして、他のホテルスタッフとは、なにかと顔をあわせることがおおかったけれど、そういえば、他のゲストとはほとんど顔をあわさなかったことをおもいだす。聞けば連日満室で、しかもほとんどのゲストは、滞在中、あまり外出せずにホテルで時を過ごしているというのに、だ。
だから、まるで古くから馴染みの面々が、きちっと管理してくれている、みずからの別荘をあとにするかのような気持ちで、名残惜しさもあまり感じずに帰路についた。
往路では助手席の妻にも遠慮して、クルマもぼくも極力おとなしくしていたけれど、帰路はダウンヒル。すっかりくつろいで気持ちも軽やかならば、体調も万全だ。そろそろコンチネンタル GT V8 Sの本領を垣間見てみようじゃないか。
サスペンションを固めのセッティングにして、重厚なシフトノブをあやつり、低いギアで、高い回転数をたもってみた。すると、これまで粛々と仕事をこなしていたエンジンが、ブロロロとV8ならではの不揃いなビートを奏で、クルマはペダル操作にもハンドル操作にもずっと敏感に反応をしめす。ひとつひとつの操作に意味を持たせられる。クルマと対話している気分になれる。操作系には、いずれも重さがあって、それが、クルマの状態、操作によって発生した結果をドライバーに伝えてくる。クルマが勝手に判断して、情報を欺瞞してしまったり、押し付けがましくおせっかいをやくようなことはない。望まれたものを望まれただけ差し出し、決して他者の上には立たない。
なるほど、これってさっきまで THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 仙石原で経験していたことと似ているな、と、ぼくは、結論にいたった気になるのだった。
ベントレー コンチネンタル GT V8 S コンバーチブル|BENTLEY CONTINENTAL GT V8 S CONVERTIBLE
ただでさえスポーティなコンチネンタルGTのV8モデルを、よりスポーティに仕立て上げた、ベントレーきってのアスリート。その心臓は、通常のV8モデル以上の最高出力528ps(389kW)を6,000rpmで発生させる。680Nm(69.3kgm)という莫大な最大トルクは1,700rpm からすでに生み出され、2,560kg のヘビー級ボディを、ひとまわりコンパクトなスポーツカーのように感じさせる。静止状態から時速100km までの所要時間は、わずか4.7 秒。とはいえ、100km/h 巡航時のエンジン回転数はおよそ1,300rpm で、今回の旅の大半の場面では、ジェントルなGTとしてふるまってくれた。高速道路走行がおおかったこと、さらに状況に応じて4気筒を休止させる機能も手伝ってか、燃費は概ね10km/Lと、非常に優秀だった。
「THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS 仙石原」
住所|神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1245-337
電話|0460-83-8981
URL|www.hiramatsuhotels.com/sengokuhara/