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穴子の炙りにクスクスとガスパチョのソース添えに合うワインとは?

料理から探る マリアージュ・メソッド vol.2 白金台【ティルプス】

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今回は白金台「ティルプス」の、穴子にクスクスとガスパチョのソースを添えた料理がテーマです。

穴子は脂身の強さが特徴ですが、炙ったり、蒸すことで脂質を軽くし、ツメのような甘いソースや酸味のある赤ワインソース等と合わせるのが定番。こういったソースは、ボルドーのカベルネ・ソーヴィニヨンのような骨格と凝縮感を持つワインと相性がとてもいいのです。

しかし今回はクスクスとガスパチョのソースを添えることで、クスクスに含まれるパプリカ等、歯ごたえのある野菜や、ガスパチョの心地よい酸味によって、とても清涼感のある軽やかで夏らしい一皿になっています。

今回のいち押しは、フレデリック・コサール ヴァン・ド・フランス ロジェ。フランス・ブルゴーニュの有名な自然派、ドメーヌ・シャソルネのネゴシアンのロゼです。ブルゴーニュですが、シラーを使用。ネクタリンやオレンジの皮、トマトの風味を持ち、ほどよいタンニンとフレッシュな酸、滑らかかつ骨格を持つ辛口ロゼです。

ロゼの辛口は一般的に、チェリーやスグリなどのチャーミングな果実香を持ち、トマト等のフレッシュなフレーバーとの相性が抜群。クスクスの野菜の食感が、さらにロゼとのフレッシュな同調感を高めます。

穴子はソースや付け合せと一緒に食べることで脂質がやわらぎ、軽やかに。ロゼにわずかに含まれるタンニンが穴子と呼応して美しいバランスを取ります。

マリアージュでは活躍の場が多いシャンパーニュですが、今回もロゼのブリューノ・ミッシェル ブリュットNVとの相性がいいですね。特に香りやフレーバーがエレガントでチャーミング。チェリートマトや木イチゴのアロマに軽めのイーストのニュアンスを持ちます。きめ細かいしっかりした泡のおかげで、清涼感とほどよい力強さも持ち、前述同様、フレーバーと酸の同調に脂質の調和を楽しめるマリアージュが完成します。

シャンパーニュでのマリアージュは、イーストのニュアンスの強さや泡の強さも大きなポイント。料理の重さとのバランス感に気をつけましょう。

最後はボージョレ・ヴィラージュからガメイの赤。ジャン・クロード・ラパリュのタンタシオンというキュベです。赤の場合もやはり穏やかなタンニン、綺麗な果実感と酸が大切。ラパリュのように自然派ならではのやさしいタッチのアタックを持つワインは、素材重視の軽い味わいや食感との相性もいいのです。

さらにこれは軽やかさの中にうま味が詰まっていて、華やかでかつ味わい深い余韻を残します。メインの穴子とは、脂質の面でも、炙ったニュアンスのフレーバーの面でもよく合い、脂質の中和とフレーバーのマリアージュが完成します。

副素材に合わせワインを選び、主素材の存在感を高めるか、またその逆か。いずれの手法をとっても、料理との相性の楽しみをつくれるという事例です。

今回の3銘柄

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  • ブルーノ・ミッシェル シャンパーニュ キュヴェ ロゼ ブリュットNV

    生産国 : フランス
    地域 : シャンパーニュ

    ピノ・ムニエを主体にロゼをつくり、瓶内二次発酵することでロゼ特有のトマトやチェリー等のチャーミングな果実感を出している生産者。酸も伸びがあり、心地よい軽やかな渋みの、やさしい味わいのシャンパーニュ。

    マリアージュ結果
  • フレデリック・コサール ヴァン・ド・フランス ロジェ

    生産地 : フランス
    地域 : コート・デュ・ローヌ

    ブルゴーニュの有名な自然派、フレデリック・コサールのネゴシアン・ワイン。シラーを使っているのでヴァン・ド・ターブルだが、味わいは豊かで華やかな果実感に、骨格やフレッシュ感も合わせ持つバランスの素晴らしい辛口。

    マリアージュ結果
  • ジャン・クロード・ラパリュ ラ・タンタシオン ボージョレー・ヴィラージュ2012

    生産国 : フランス
    /地域 : ボージョレー

    ボージョレーの自然派。除梗せず、全房で発酵し、SO2(二酸化硫黄)は一切不使用。やさしく華やかな果実感と、ほどよい骨格を持ち、軽やかながら風味は長い。つくりの特性から生まれるやわらかさの中に、すべてが閉じ込められている味わい。

    マリアージュ結果

大越メソッド 基本アプローチ5カ条

① 五味を合わせる
五味とは、酸味、甘味、塩味、苦味、うま味のこと。料理とワインの2つの要素の中でバランスよく五味が整う時に、双方の風味が味わい深く感じられる。
② 味わいの同調
ワインと料理の五味の中でも特に酸味、甘味、うま味を同調させる。互いのボリューム感や強さに合わせて同じ風味同士を同調させ、一体感を出して味を引き立てる。
③ 味わいの中和
五味や刺激(渋味、辛味)の中でやや強い個性に対し、対の関係にある味わいを合わせて個性を緩和させ、中和することで、風味を心地よく残す。
④ フレーバーを合わせる
とても重要で、頻繁に使用される考え方。ワインと料理の双方が持つフレーバーや香りを合わせて一体感を生み出すことで、いずれも長い余韻、風味を楽しめる。
⑤ テクスチャーを合わせる
やわらかいワインにやわらかい料理、暖かい料理に冷やしすぎていないワインなど、温度や食感などでテクスチャーを整えると、マリアージュ効果がさらに上がる。

この記事を書いた人

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大越 基裕
1976年4月24日 北海道札幌市生まれ
バーテンダーからサービス業界に入る。ワインに魅せられて渡仏を決意、帰国後2000年にソムリエになる。ワインバーで勤めた後2001年に銀座レカンにソムリエとして入社。様々なコンクールや実践で経験を積んだのち、更にワインの奥深さを知るために、再び2006年より2年半渡仏。帰国後2009年より銀座レカンシェフ・ソムリエとなる。

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