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ほろほろ鶏のローストに合うワインとは?

料理から探る マリアージュ・メソッド vol.1 日本橋【ラ・ボンヌ・ターブル】

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第1回は日本橋のフランス料理店「ラ・ボンヌ・ラーブル」を舞台に、ほろほろ鶏料理でマリアージュを探しましょう。

ポイントは、脂質の少ない肉質。ほろほろ鶏の内臓や黒オリーブを使ったタプナード(フランス・プロヴァンスを発祥とするペースト)の塩味、肉のエッセンスを含んだやや粘性のあるソースも鍵になります。

肉自体に厚みがあり、噛み応えがある点にも注目。噛むという作業は、タンニンによる渋みを中和してくれるからです。

逆に渋みの少ないワインには薄切り肉を合わせるとバランスがいい。脂の多い料理と渋みの強いワインで中和することも可能です。

今回のいち押しワインは、南フランスの自然派ワイン生産者、マ・ド・ラ・ベギュートのル・レザン・エ・ランジュ・ファーブル2012です。

主要品種はシラーで、黒系果実の華やかなニュアンスに明確なスパイシーさを持ち、タンニンはやや軽めでミディアムライトボディの味わい。自然派らしいやわらかく、軽やかなタッチの果実感が全面に出ています。

一方、品種の特徴であるスパイス香やほどよいタンニンはワインに骨格を与え、南の風味のする軽いタッチがあります。

これが一番重要なポイント。メインのほろほろ鶏は脂質が軽めですが、脇役にはややアクセントがあるからです。ワインと料理の軽さが合致。さらにタプナードの塩味と内臓のコクとが、スパイスフレーバーと同調します。

最後にワインの甘味とバランスのいい酸が、料理のうま味や塩味と呼応し、結果、五味のマリアージュを形成します。この料理の影の主役はソース。肉や野菜にたっぷりつけることで、マリアージュの完成度はさらに上がります。

アメリカのブロック・セラーズ カベルネ・フランもいいですね。特徴は重心の軽さ。フルーティーでフローラル、一方カベルネ特有の軽いタンニンもある。若干の植物的アロマや土のニュアンスがあり、添えたアスパラガスや椎茸との相性も抜群です。

料理はメインだけでなく、付け合せも重要。付け合せにワインを合わせると、料理とのつながりがよりスムーズになることが多いのです。

最後はオーストラリアのルーシー・マルゴー ピノ・ノワール。自然派の優しいタッチに華やか深い果実感があります。脂質の少ないほろほろ鶏は、酸主体のピノ・ノワールとのバランスがいい。ソースが力強いので、味に凝縮度があるキュヴェを選びました。近年のオーストラリアは非常にエレガントなものが多く、これもその一つ。

しかし、この凝縮度により料理の塩気やソースの油分と呼応し、従来の華やかで味わいある果実味と酸がソースのうま味と塩味と連携、五味のマリアージュを楽しめます。

今回の3銘柄

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  • マ・ド・ラ・ベキュート ル・レザン・エ・ランジュ・ファーブル2012

    生産国 : フランス
    地域 : ローヌ

    シラー主体にメルローとアリカンテとのブレンドという、珍しい構成でつくられるフランスのコート・デュ・ローヌの自然派ワイン。軽やかながら風味とうま味が広がり、スムーズな口当たりを持つ。

    マリアージュ結果
  • ルーシー・マルゴー ルーシー・マルゴー・エステート ピノ・ノワール

    生産地 : オーストラリア
    地域 : 南オーストラリア

    オーストラリアのアデレード・ヒルズの自然派生産者。一切の添加物を加えずにつくられるワインは、畑の表現力に富んでおり、味わいには骨格の力強さに凝縮度と繊細さが共存している。

    マリアージュ結果
  • ブロック・セラーズ ホール・クラスター カベルネ・フラン サンタ・バーバラ・カウンティ2012

    生産国 : アメリカ
    地域 : カリフォルニア

    アメリカで生産された自然派ワインで、ブドウはサンタ・バーバラのサンタイネズ・ヴァレー産。全房発酵でつくられ、フレッシュで軽やかな味わい。グリーンノートやきめの細かいタンニンを持ち合わせている。

    マリアージュ結果

大越メソッド 基本アプローチ5カ条

① 五味を合わせる
五味とは、酸味、甘味、塩味、苦味、うま味のこと。料理とワインの2つの要素の中でバランスよく五味が整う時に、双方の風味が味わい深く感じられる。
② 味わいの同調
ワインと料理の五味の中でも特に酸味、甘味、うま味を同調させる。互いのボリューム感や強さに合わせて同じ風味同士を同調させ、一体感を出して味を引き立てる。
③ 味わいの中和
五味や刺激(渋味、辛味)の中でやや強い個性に対し、対の関係にある味わいを合わせて個性を緩和させ、中和することで、風味を心地よく残す。
④ フレーバーを合わせる
とても重要で、頻繁に使用される考え方。ワインと料理の双方が持つフレーバーや香りを合わせて一体感を生み出すことで、いずれも長い余韻、風味を楽しめる。
⑤ テクスチャーを合わせる
やわらかいワインにやわらかい料理、暖かい料理に冷やしすぎていないワインなど、温度や食感などでテクスチャーを整えると、マリアージュ効果がさらに上がる。

この記事を書いた人

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大越 基裕
1976年4月24日 北海道札幌市生まれ
バーテンダーからサービス業界に入る。ワインに魅せられて渡仏を決意、帰国後2000年にソムリエになる。ワインバーで勤めた後2001年に銀座レカンにソムリエとして入社。様々なコンクールや実践で経験を積んだのち、更にワインの奥深さを知るために、再び2006年より2年半渡仏。帰国後2009年より銀座レカンシェフ・ソムリエとなる。

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