バロッサの男爵のワイン
1930年、ドイツ系移民の5代目としてバロッサに生を受けた、創業者のピーター・レーマン。17歳から醸造に携わり、やがて大手ワイナリーに認められワインメーカーへと名をなしていく。
70年代半ば、ブドウの過剰供給を理由としてワイナリーが栽培農家との契約を一方的に打ち切った際、彼はその考えに猛烈に反対。ワイナリーを去るとともに、私財を投げうってバルクワインを造る会社を興し、経営破綻の危機に瀕していた農家を救ったのである。
「男に二言はない」と言い切り、リスクを恐れずパートナーである農家とともに歩んだことから、今なお「バロッサの男爵」として尊敬されている。
こうして、79年に設立された「ピーター・レーマン・ワインズ」。バロッサの谷床から高所に至るまで、バロッサの各地に140を超える農家と提携し、高品質なワインを造りだしている。ピーター・レーマンは惜しまれつつ2013年に亡くなったが15年、[イエローテイル] のジョン・カセラ氏による初の大きな買収が行なわれ、世界のマーケットに本格的に進出を果たす。今なお創業者の精神は、彼の哲学に感銘を受けた次世代にも継承されているのだ。
受賞歴をとってみても、「オーストラリアン・ワイン・コンパニオン」でジェームス・ハリデーから5つ星評価を獲得、「ラングトン」の格付けでトップ100に選出(Stonewellが「Outstanding(傑出した)」の評価)、「Winestate(ワインステート)」の「Winery of the Year(最優秀ワイナリー)」など、枚挙にいとまがない。
現在は、同社のイズムを知るベテランと若手醸造がチームを組み、新たな可能性を表現し続けている。
オーストラリア料理とペアリングを楽しむ
記事を作るにあたりオーストラリア料理「サウス」さんに、「ピーター・レーマン」をさらに美味しくするベアリングをお願いした。登場したのは、海と山からの贈り物を意味する“Surf & Turf”(サーフ&ターフ)をコンセプトにした一品。
実は多民族国家であるオーストラリアは、中東やアジア、ヨーロッパの食文化が独自に融合したハーブやスパイス使いなどで世界中から注目される、フードのトレンドリーダー的存在だ。
そして、今回のマリアージュで紹介するアイテムは「ピーター・レーマン バロッサ・シラーズ ポートレート」と「ピーター・レーマン エデンヴァレー・リースリング ポートレート」。
前者は、黒ブドウの聖地、バロッサ・ヴァレーの140以上の農家で収穫されたブドウを用いることで、芳醇さを実現。後者は、標高が高く冷涼なエリアに由来する美しい酸が特徴の1本だ。
いずれも、ワイン産地としてなぜオーストラリアがこれほどまでに注目されるのかを理論ではなく、その味わいで伝えてくれるアイテムばかり。
ワインの揺るぎないクオリティはもちろんのこと、フードについても世界のトレンドを牽引する注目の地、オーストラリア。お肉でも、魚介でもちょっとゴージャスな食材と楽しんでもらいたい。
ピーター・レーマン バロッサ・シラーズ・ポートレート
●生産国/地域:オーストラリア/バロッサ・ヴァレー ●品種:シラーズ 100%