この地域の造り手の多くがそうであるように、祖父、曽祖父の時代はカシスや穀物も扱う複合農業をしており、ブドウの栽培とワイン造りに特化したのは父の代からという。
所有する畑はオート・コートとペルナン・ヴェルジュレスのほか、ヴォーヌ・ロマネの村名畑や一級畑レ・シュショも。母がヴォーヌ・ロマネの名門カシュー家の生まれで、これらの畑を相続した。現在、21ヘクタールの面積を耕作している。
「ここでワイン造りを始めて12年が経ちますが、果実の状態に応じてどう醸造すべきか、毎年が勉強です」と語るファビアンさん。
2年前に最新の空気式圧搾機を導入したが、白は優しく搾れてミネラルが感じられる反面、オイリーな舌触りが足りない。それで旧式の圧搾機との併用にした。
またブドウの成熟には除葉が必須とされるが、2015年のような暑い年はブドウが日焼けしてしまったという。「新しい機械や技術がつねに正しいとは限りません」。
赤ワインの醸造は、ピジャージュ派の父に対して彼はルモンタージュ派。「色は薄くてもストラクチャーがあり、余韻の長いワイン」が、彼の理想とするスタイルだそうだ。