第二の頂点を迎え「別の段階に達した」ドン ペリニヨン
昨年の継承式でリシャール・ジェフロワから正式にドン ペリニヨンの醸造最高責任者に就任したヴァンサン・シャプロン。トップに立った彼の日本における初仕事は、「ドン ペリニヨン ヴィンテージ 2002 プレニチュード 2」のお披露目であった。
熟成の過程において、そのプレニチュード(頂点)が複数回訪れるドン ペリニヨン。8〜9年の熟成を経て最高のハーモニーに達した時が第一のプレニチュード。そしてさらに6〜8年が経ち、ドン ペリニヨンのエネルギーが最高潮に達した状態が第二のプレニチュードである。この第二のプレニチュードを迎えたドン ペリニヨンこそ「プレニチュード 2」。略して「P2」と呼ぶ。
「P2はより凝縮し、より長く、より豊かで、より深みがましたドン ペリニヨン。あらゆる要素が『別の段階に達した』と表現してよいでしょう」とヴァンサン。
瓶内熟成とは澱、すなわち酵母からワインへのエネルギーの移行であり、熟成期間はコンストラクション(構築)の時間だという。そのため醸造最高責任者に求められるのは、長い熟成期間に耐え得る的確なアッサンブラージュであり、プレニチュードを見極める判断力である。
「カーヴの中でボトルを開けて試飲すると、そのドン ペリニヨンがどのような軌道を描き、現在の状態に到達したかがわかります。そしてワインから深い凝縮感のピークを感じた瞬間、P2としてふたたび世に送り出す決断をするのです」
2000年に続いて、新たにP2としてリリースされたのは2002年ヴィンテージ。「過去20年間で最も暑かった年」とヴァンサンはいう。
一般には翌2003年の方が暑いイメージだが、03年は8月の2習慣に集中した酷暑が印象強く記憶に焼き付いているためであり、4月から6カ月間、平均的に高い気温が続いた02年のほうがブドウの成熟度も高く、潜在アルコール度数で平均11度にも達したそうだ。
とりわけシャルドネの熟度が例外的に高く、摘み取りが遅れて、まるでブルゴーニュのようなシャルドネになった区画さえあったという。
「2002年は熟した果実を感じさせ、官能的で滑らかなテクスチャー。緊張感や神経質里は無縁のヴィンテージでした」
しかし、それがP2になると変わる。
「テンションやフレッシュさ、ミネラル感が備わりました。長い熟成期間を減ることでより性格が顕になり、完璧な調和へと昇華したのです」
そのヴィンテージの中に自然には備わっていなかった要素が、長い熟成を経て補完される。
たとえば、2000年のドン ペリニヨンはバランスに秀でたヴィンテージだったが、02年ほどの力強さはない。しかし今、2つのヴィンテージのP2を同意に味わうと、それぞれが最初にリリースされたP1時ほどの違いは感じられないであろう。
「よりドン ペリニヨンらしいドン ペリニヨン」
それが熟成のもたらすマジックであり、プレニチュード2の真価なのだ。
DOM PÉRIGNON VINTAGE 2002 – PLÉNITUDE 2
ドン ペリニヨン ヴィンテージ 2002 プレニチュード 2
17のグラン・クリュのうち15に自社畑をもつドン ペリニヨン。毎年決まったレシピはないものの、ドン ペリニヨン所縁のプルミエ・クリュ、おーヴィレールを含めた9つのクリュのブドウがおもに使われる。シャルドネがシュイィ、クラマン、ル・メニル・シュール・オジェ、ピノ・ノワールがアヴィーズ、アイ、ブージィ、ヴェルズネ、マイィ、それにオーヴィレール。10年以上の熟成には金属製の王冠よりも天然コルクの方が適しているため、P2の熟成には天然コルクを用いる。もちろん、デゴルジュマンは手作業。その際、1本1本、ブショネのチェックを行う。ドン ペリニヨンの各ヴィンテージは、P1に達するまでボトルを水平状態に保って、澱との接触面を広くとり、そのあとは倒立状態にして、澱の還元作用を利用し酸化を防ぐ。
希望小売価格:54,600円(税抜)