スパークリングワインで、ほどよく楽しく
さあ、始めましょうか、とコルクを抜こうというところで「聞いてください!」と珍しく大きい声の可南子さん。
「この間、ワインショップで、前回のピノ・ノワールの回で気に入った「クラウディー ベイ」を買ったんです」
おぉ、学習後に指名買いとは嬉しい! ナビゲーター冥利。
「あ、でもですね……」
ん?
「ピノ・ノワールを飲みたいなとは思っていたんですけど、ワインの名前を思い出せなくて。思い切ってショップの方に、ニュージーランドのピノ・ノワールで……と聞いたら出してくれたんです。嬉しかったなぁ」
いやいやそれは素晴らしい前進。お店の人にも感謝。そういえばニュージーランドでピノ・ノワールといえば最近ではスパークリングワインもなかなかいいものが出てきました。
「え? スパークリングワインはシャンパンじゃないんですか、ニュージーランドでも?」
そういうの待ってました(笑)。シャンパン、シャンパーニュはフランスのシャンパーニュ地方でつくられるスパークリングワインのこと、というのは知られているようで知られてないですからね。
「なるほど。今回のテーマの『スパークリングワインと女子会』ということでしたら先日、仲の良い『乃木坂46』の衛藤美彩ちゃんと飲みました。彼女、自他ともに認める酒飲みで(笑)。お姉さんな雰囲気はキャラというよりほんとにそのタイプで、この間はちょっと重めの相談をしたんです、人生の。でもスパークリングワインのおかげで、なんかほどよく楽しくなっちゃったんです。で、結局、タコのマリネ、リゾットとパスタ、デザート……お腹も気持ちもいっぱいで幸せ!」
いやぁ、スパークリングワインの本質をついている気がするなあ。では今日もいろんなワインを体験していただきましょう。今回はこちらの6本です。
まずは豪州の大手「ジェイコブズ・クリーク シャルドネ ピノ・ノワール」。
「苦みはあるけどさっぱりしてます。あぁ、この感じ、なにかにたとえたい」
どうぞどうぞ。
「実はグレープフルーツがあまり得意ではないんです。私には苦みと酸味が強すぎて。でもこれは苦みがおいしい。そうだ、青リンゴだ!」
最近ワインへのアプローチが面白くなってきたようですね。さて、どんな女子会に登場させましょうか。
「仲の良い友達2人か3人か。少し大人の話ができそう。おちついてしゃべれる友達がいいな。生ガキと一緒に! 生ガキ大好きなんです」
好きなものと好きな友人との時間。ちょっとした苦みが大人の話に似合うということですね。次は、同じく「ジェイコブズ・クリーク スパークリング・ロゼ」。
「いちごの香り。ジュースみたい。これも苦見は感じるけれど香り甘やか。最初のワインよりかわいい感じがします。これはもっと楽しくて、きゃぴきゃぴした女子会。4人ぐらいで楽しい話。きっと恋愛の話だろうなあ。まだ本気じゃないけど、へぇ、そうなんだみたいな。自分の恋愛は想像つかないけど(涙目)」
いやいやたぶん大丈夫。たぶんだけど(苦笑)。そんな気分も上がるでしょう! 続いてチリから「コノスル スパークリング ロゼ」。
「これはぜんぜん甘くない。うわぁ、これは大人……大人の人と女子会ですね。年齢が少し上のお姉さんぽい人。いろいろ教われそうです。でも叱られたくはない。優しい甘さも感じるので、きっと優しい人のはず」
最後は願望か。ではこれならどうでしょう。きっと怒られる感じではないと思うんですが……。日本は勝沼から「麻屋ももいろスパークリング」。日本生まれのブドウ品種「マスカット・ベーリーA」が使われています。
「口に当たる泡の量がふわっと多いように思います。若いけれど2つ目がきゃぴきゃぴ系で、こちらはもっとかわいらしい若さ。自分より若い。年下の女の子。ボトルのデザインもそんな感じですよね」
実際には妹さんがいるけれども「妹のほうがしっかりしてるんです……」な可南子さんが年下の相談を受けるというこれはレアな場面?
「年下の仲のいい子はいるんですけど、私より精神的には大人。そういう年下の女子の前でもかっこうよくありたいなとは思うんですけどね。よし、これ飲みながら相談にのってあげよう!」
いつも悩み深そうにしてしまう可南子さんですが、今日は泡のおかげでポジティブな結論が出やすいようですよ。
さあ、雰囲気をがらりと変えましょう。フランス=シャンパーニュというイメージですが、フランスはほかにもたくさんの泡があるんです。詳細は「ようこそスパークリングワインの世界」をみていただくとして、その中から「ドメーヌ フィリップ ヴァンデル クレマン・デュ・ジュラ ブリュット」。スイス国境、アルプスに近い標高が高く冷涼な地域のシャルドネ100%です。
「フランスと聞いて苦みに対して、ちょっと構えましたけど、とてもフレッシュでピュア。でも複雑さも感じます。香りから不思議、味も不思議。なんだかきれいな水から出したばかりの豆腐。京都の冬が思い浮かびます。妹との女子旅なんていいかも。一番プライベートで会うのが妹なんですけど親友みたいな存在。きれいな空気と美しい風景の中でいろんなことを話したいな」
なるほど女子会というより女子2人の肩の力を抜いた、でも美しい時間。
最後は「フェウディ・ディ・サン・グレゴリオドゥブル ファランギーナ スプマンテ」。
シャンパーニュの著名メゾンであるジャック・セロスとイタリアはカンパーニャ州の名手フェウディ社のコラボアイテムです。
「今度は少し高級なチーズを食べながら。カラスミのパスタもいいな。これは大人ですね、一緒に楽しむならお母さんぐらいの世代がいい。母はお酒を楽しめる人で、良くイタリアンを食べながらテーマもなく、いろいろおしゃべりするんです。うん、年上だけど肩の力を抜いて話せるような、そんな人と!」
泡によって相手も場面も話の内容も変わる。そしていずれにしても最後はハッピーになれるのがスパークリングワインの良さ! 可南子さん、すっかり気分をあげて夕方の街に出てきました。
田原可南子のこの1本
ジェイコブス・クリーク シャルドネ ピノ・ノワール