余市町に隣接する仁木町は、フルーツランドと呼ばれるほどの果樹生産地であり、その歴史も長い。ただ生産者の高齢化が進み、離農する農家が多いのが現状。
そんな仁木町に83,000坪もの土地を購入して立ち上げられたのがNIKI Hills ヴィレッジである。最初からワイナリーを作る目的ではなかった。東京に本社がある広告会社DACグループのオーナーの石川和則氏が社員研修所建設候補地として仁木町も視野にいれていたところ、仁木町の町長・佐藤聖一郎氏と出会った。佐藤町長は、農業で仁木町を再生したいと考え、町政改革に取り組んでいた。そんな町長の「理想の町をつくりたい」という情熱に心を動かされて、ワイナリーを作ることになったという。
2014年に農業法人を設立し、翌年からワイン用ブドウ畑を整備。さらに醸造所の工事もスタート。その年の秋には余市町産のブドウを使用し、赤・白ワインの醸造を開始。2016年秋に初リリースした白ワイン『HATSUYUKI 2015』は、その名の通り北海道の初雪を思わせる、はかなくも凛とした味わいのケルナーとなって、高い評価を受けた。
その翌年には、『HATSUYUKI 2016』『HATSUYUKI Classic 2016』『HATSUYUKI Barrel 2016』、『はつゆき FILTERLESS 2016』、貴腐ワインのようなニュアンスを持つ『はつゆき Late Harvest 2016』も登場。どれも余市町産のケルナーを使用しているが、それぞれに違う特徴が出ている。
また、『Japan Wine Compe-titon(日本ワインコンクール) 2017』の欧州系品種の白ワイン部門では、NIKI Hills ヴィレッジの初醸造白ワイン「HATSUYUKI」が銀賞、「はつゆき FILTERLESS」が銅賞に選出されるという、華々しいスタートを切っている。
ワインの醸造を任せられているのが、麿 直之氏。麿氏はNIKI Hillsに携わる前は製薬会社の営業という、まったくの畑違い、0スタートで醸造技術を学んだそう。もともと交流のあった石川社長の「ワイナリーを作ることで、仁木町を活性化させたい」という想いに共鳴し、北海道に移住。そこから、北海道内・ドイツ・ニュージーランドなどのワイナリーで技術を習得した。
「北海道で、世界に通用するワインを作りたい」
その高い志が、初リリースのワインの賞獲得につながる。2016年には自社のぶどう栽培もスタートし、今後はシャルドネ、ピノ・ノワール、そしてスパークリング等のリリースも予定している。