全貌を現したグランポレール新ヴィンテージは
その味と姿から何を語るのか
ラベルが変わった!
柳 「グランポレール」が誕生15周年、おめでとうございます。
工藤 ありがとうございます。遡れば1975年に長野・古里ぶどう園を開園して以来、翌76年に勝沼ワイナリー設立、84年に岡山ワイナリーを設立し、北海道の余市でケルナーの栽培を始めるなど、サッポロは日本ワインに関してさまざまな取り組みをしてきました。
そして2003年、北海道、山梨、長野、岡山、4つの産地から厳選されたブドウを用い、卓越した技術をもって醸造するというコンセプトのもと、誕生したブランドがグランポレールです。「土地、自然、人」が奏でる絶妙のハーモニーを標榜しています。
柳 あれ? ラベルが変わった!
工藤 ええ。15周年を機に、新しいキャッチコピーを作り、ポートフォリオを再編、ラベルも一新しました。
柳 新しいキャッチは「日本ワインの、美しい星になる」。ポレールの意味がフランス語の「北極星」ですから、それを踏まえてのキャッチですね。ラベルも金色の星が一層強調されています。さらにブランドスローガンが「Japan Beauty」。日本の美的感覚を詰め込んだ美しい日本ワインとのことですが、これはどういう意味でしょう?
工藤 美しい日本の風土にあったワイン造り、といえばよいのでしょうか。生まれた土地とブドウ品種の個性を、私たち醸造チームが最大限引き出すことこそ大事だと考えています。たとえば、温暖で乾燥したカリフォルニアでは力強く濃厚なワインができますが、ここは日本ですから、繊細さとバランスの良さを表現したいですね。
「土地、自然、人」〜グランポレールの4つの産地〜
北海道
積丹半島の基部にあり、日本海に面した余市町。ブドウ畑も日本海を見下ろす起伏の豊かな傾斜地にある。気候的には本州と比べると非常に冷涼だが、北海道内では比較的温暖で、凍害の心配がない。梅雨がないので、ブドウの成熟にも適している。傾斜地のため、水はけはよい。気候条件がドイツの銘醸地と一致していることから、ドイツ系の品種に挑戦し、ケルナーの栽培ではパイオニア。2009年からは高級品種ピノ・ノワールにもいち早く取り組み、赤用の品種には耐寒性の強い、オーストリア系のツヴァイゲルトレーベを栽培。独特の香りと冷涼感のある酸味が特徴のワインを生み出す。
山梨
日本ワイン発祥の地。高温多湿な気候に合わせ、欧州ではあまり見ない平棚式の仕立て法により、日本古来の品種である甲州が栽培されている。周囲を山に囲まれた山梨は台風が少なく、年間を通しても比較的少雨。日照時間が長く、とくに山地の畑では日較差が大きい。白ワイン用品種は何を置いても甲州がナンバーワン。シュール・リー製法の「甲州辛口」、日本ワインコンクールで3年連続金賞および部門最高賞を獲得している「甲州樽発酵」、そして山梨県が開発した甲斐ノワールにも取り組むなど、さまざまなスタイルのワインを造っている。
長野
グランポレールは長野県北部の北信地区に、1975年、古里ぶどう園を開園。そして2010年には安曇野池田ヴィンヤードに苗を植えた。古里ぶどう園は夏季の最高気温が低い反面、長野県の中では平均気温が高く、カベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に適している。一方、安曇野池田ヴィンヤードは昼夜の寒暖差が大きく、水はけの良い土壌。シラー、ピノ・ノワール、ソーヴィニヨン・ブランなど、日本では比較的珍しい欧州系品種もその個性を発揮しつつある。シャルドネは酸のはっきりした安曇野池田に対し、古里はボディがしっかり。同じ長野県内にもかかわらず、ふたつのブドウ畑の特徴がはっきり異なるのが面白い。
岡山
意外と知られていない果樹の一大名産地が岡山。ブドウの成育期の平均温度は21.8度と温暖。全国で最も晴天日が多いと言われている。丁寧に育てられたブドウから、フルーティさを最大限に表現したワインが生み出される。白ワイン用品種として岡山を代表するのが、果実の女王、マスカット・オブ・アレキサンドリア。生食用としても珍重されるこの品種を贅沢に醸造。醸造方法に工夫を重ね、香り高く、酸味と甘みの心地よいワインに仕上げることに成功した。赤ワイン用品種は井原市の契約農家によって栽培されるマスカットベーリーA。オーク樽で熟成させ、柔らかく、果実味のまろやかなミディアムボディに。