感想戦
菊池貴行さん(左)
「レストラン サンパウ」シェフソムリエ。「カバ功労騎士」。東京のスペイン料理店勤務後、スペインでも経験を積む。カタルーニャに本店がある「サンパウ」の東京店には2004年の立ち上げ時より勤務。
「ライマットはカタルーニャ語で『ブドウ』と『手』を意味していて、鮨屋さんにピッタリじゃありません?」
鮨とワインは世界中で楽しまれているペアリング
小野 鮨のことを話す自信はありますが、前にグラスを並べられて「ワインについて話せ」と言われますと、どうにも……(笑)。
菊池 でも、小野さんの店はワインを飲みやすい空間です。営業中の小野さんはカウンター越しにやわらかい接客をされていて、お客様の肩肘を張らせない。すると、ワインが進む。
小野 頑固な親方がいる鮨屋の主張は、「日本酒とビールしか鮨に合わない」。僕もそういう店で修業しましたから、まさか自分が飯台の蓋の上でワインのコルク栓を抜き、カウンターのお客様へサービスする日が来るとは想像してませんでした(笑)。今では半年に1回、自分でワインリストを変更するまでになりましたが。
菊池 鮨とワインは、日本だとまだまだ敬遠されがち。ただ、世界中で楽しまれるペアリングではあります。今のスペインでは、鮨屋さんで箸を使って食事をする高級デートが、若者のトレンドみたいですし。
小野 うちの店には外国人VIPもいらっしゃいますが、鮨を食べ慣れている海外のセレブには、鮨とワインを合わせるスタイルが自然だと認知されています。
菊池 その点、日本人のほうが固定観念に縛られているのかも。
小野 ワインを頼まれる日本のお客様からも「小野さん、やっぱり鮨には白ワインでしょ?」とはよく尋ねられますねぇ。
菊池 なら、泡、ロゼ、赤に合う鮨をこの企画でご紹介できてよかったです。
ライマットは試飲すると握る鮨が頭に浮かぶ
小野 じつは今まで僕、それほどスペインワインに触れてこなかったんです。でも、試飲すると握る鮨が一瞬で頭に浮かぶライマットのワインは、使い勝手がいい。
菊池 鮨と相性抜群な理由のひとつは、スペイン人が日本人と同じくらい魚介類好きなこと。まぐろ、かつお、いか、たこまで食べるし、えびの消費量も高い。表面を少し炙っただけのレアな料理もある。ふたつめの理由は、どのスペインワインも酸が柔らかくクセがないこと。
小野 背景にある食文化とワインの味わいが、鮨向きなんですね。
菊池 では、数あるスペイン産のなかで、なぜライマットなのか。それは、小野さんの鮨とライマットに共通項があるから。
小野 ??
菊池 小野さんは鮨ネタを大切にし、「99%は素材の力です」と謙虚でいらっしゃいます。ライマットも自然第一で、ブドウの力を大事にし、畑では出来る限り自然な環境を守っています。現地の畑へ行きますと、野生の小動物があちこちにいる。ブドウにとって益虫のテントウムシも、1匹2匹ならカワイイんですけど、「うっ」ってなるくらい大量にいる(笑)。それくらい、畑に生命力がありました。
小野 一流ソムリエである菊池さんから、鮨とライマットの共通点やペアリングコメントまで教えていただけて、今日はとても勉強になります。僕は頑固職人ではあるけど、新しいものもどんどん取り入れたいと願っていますので。
菊池 小野さんの人柄なのか、優しさにあふれた鮨の味と、酸が尖り過ぎてなくて親しみやすい、ライマットのワインは、最高の組み合わせだと思います。あと、ライマットはカタルーニャ語で「ブドウ」と「手」を意味していて、アニマ・シリーズのラベルには手を描いたタイルの模様が描かれている。これも、鮨屋さんにピッタリじゃありません?
小野 なら、僕が鮨を握っている手も、ラベルに入れてほしいなぁ(笑)。
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