
メゾン マム RSRV(アール・エス・アール・ヴイ)シリーズ
2018年5月7日に発売となった「メゾンマムRSRV ロゼ・フジタ」(手前)。「RSRV」とは、熟成中のワインセラーで最高醸造責任者ディディエ・マリオッティによって記される識別コードで、メゾンマムの最高評価のシャンパーニュであることの証。ロゼ・フジタの登場で、マムのこのウルトラプレミアムレンジは「RSRV ブラン・ド・ノワール 2008」(後ろ右)と「RSRV ブラン・ド・ブラン 2012」(後ろ左)のトリオになった。
ロゼ・フジタはRSRVの3D
「メゾン マム RSRV ロゼ・フジタ」(以下、ここでは親しみを込めてロゼ・フジタと表記する)は、プレミアム・レンジらしくグラン・クリュと豊かなリザーブワインの組み合わせ。重厚さが際立つと思っていたが、実にチャーミングで癒されるものだった。インパクトよりもじわじわと広がる感動とでもいうのだろうか。
「このワインを楽しんでいただきたい時間は夕方から。今日の仕事を終え、友人や大切な人との時間が幕を開ける。私自身、そんなときに飲むのなら一杯で終わりたくない。ホッと一息ついて、もう一杯。味わい深さと軽やかさの両立を目指しました」
クラマンとアヴィズのシャルドネ、アイとブジー、ヴェルズネーのピノ・ノワール。そこに、アンボネイの赤ワイン。
これだけ贅沢ならかなり派手な足し算になりそうだが……。
「複雑さ=単純な力強さ、重さと語られることがありますが、そうではありません。ロゼ・フジタでは、力強さを前面に出すのではなく、軽やかな複雑さを楽しんでいただけると思います」
そして余韻に広がるのは、シャンパーニュ好きなら、ぞくぞくする感動。チャーミングさとエレガンスの同居。これぞマリオッティ氏のマジックか。
さて、ロゼ・フジタ誕生の経緯を、2つの視点から見ていこう。まずマリオッティ氏の「RSRV」というコレクションへの挑戦だ。原点はブラン・ド・ブランだった。
「モノ・セパージュ(単一のブドウ)、モノ・クリュ(単一の区画)、モノ・ミレジメ(単一年)。つまり“モノモノモノ”をしっかり造りたかった。その対となる存在も造りました。ブラン・ド・ノワール。こちらも“モノモノモノ”。
そうなると今度はノン・ヴィンテージも欲しい。ミレジメはノンヴィンより上位にある、と考える方も多いのですが、私にとってノンヴィンこそシャンパーニュの素晴らしさを示すもの。単一年のアッサンブラージュ(ブレンド)が場所とブドウの2Dだとすれば、ノンヴィンのブリュットはそれにリザーブという時間が加わる3Dの世界。ロゼ・フジタはRSRVの3Dを担うものです」
なぜフジタの名を冠したのか?
次の視点は名前だ。最高醸造責任者としてのプライドと挑戦を込めたこのロゼに、なぜフジタの名を冠したのか?
メゾン マム最高醸造責任者 ディディエ・マリオッティ
Chef de cave de la maison Mumm, Didier Mariotti
2003年に現職に就任以来、創業1827年の老舗の「祝福の瞬間」の味をつくり続けている。1971年、コルシカ生まれ。
「これは私の中で当然のことでした。1966年、マム史上最初のロゼがリリースされたときに、藤田さんが描いたバラを使うことを許してくれました。メゾンの歴史と深い結びつきを考えれば、このオマージュは自然です」
世界的な芸術家となりながら、1955年、日本を追われた藤田嗣治(レオナール・フジタ)。そのフランス国籍取得に尽力したのが、G.H.マムの当時の社長で、現在同社のプレステージキュヴェにその名を残すルネ・ラルーだった。その友情を今でも大切にするマムは、ロゼ・シャンパーニュのミュズレに藤田が描いた薔薇を刻むが、新たにプレミアム・レンジ、マリオッティ氏の挑戦の証にもその名を選んだ。
「ワインを造る。それには歴史が必要です。私の仕事に“現在“は存在しない。過去の遺産を未来につなぎ、伝える。それがまた新しい過去になる。そして、待っていてくださる人に幸せを運ぶのが私の仕事です」
マムとフジタの過去が明日の喜びにつながっていく。
そのためのシャンパーニュ。
もともと「RSRV」はメゾンを訪ねる大切なゲストへのもてなしとして生まれたもの。プレミアム・レンジ、グラン・キュヴェというワードだけにとらわれるのではなく、幸せな時間をシェアできるロゼ・シャンパーニュとして、心ゆくまで楽しみたい。
[問い合わせ先]ペルノ・リカール・ジャパン
tel.03-5820-2756(お客様相談室)
www.pernod-ricard-japan.com
www.mumm.com/ja-jp