Château Margaux 〜Margaux〜
“ワインの女王”
メドックのヴェルサイユ
「シャトー・マルゴー」が最初の文献に登場するのは12世紀で、当時は「ラ・モット・ド・マルゴー」の名で呼ばれた農園であった。
1810年、当時の所有者であったラ・コロニヤ伯爵により、エチケットにも描かれている壮麗なシャトーが建設される。ネオ・パラディアン様式の城館はフランスでも非常に珍しいもので、しばしば“メドックのヴェルサイユ”と称され、1946年には歴史的建造物として認定された。
77年にシャトーを買収したのが、ギリシャ人実業家のアンドレ・メンツェロプロスだ。彼はシャトーの立て直しを図り、著名な醸造学者エミール・ペイノーを技術顧問として迎え入れて大胆な改革に取り組み、現在のマルゴーの栄光の基礎を築いた。メンツェロプロスの死後、シャトーは娘のコリーヌ夫妻と経営醸造責任者フィリップ・バスコール氏により運営されている。
マルゴーの所有面積は合計約94ヘクタールで、75%のカベルネ・ソーヴィニヨンと、20%のメルローが植えられている。そのブドウ畑の中に突如、不思議な工作物が姿を現す。地下にあるテクニカル・ヤードに下りて行く螺旋階段の出入り口で、最新設備を誇る広大な地下空間が広がっている。
文豪アーネスト・ヘミングウェイはマルゴーを愛するあまり、自身の孫娘に“マーゴ”と名付け、また日本映画「失楽園」の主人公の男女が最後のシーンで口にしたワインとしても有名である。こうした逸話の多さが、このシャトー・マルゴーにさらなる夢と憧れを抱かせるのであろう。