3. Château Léognan
シャトー・レオニャン
年中無休。ツアー見学、レストラン、宿泊ともに要予約。
88 Chemin du Barp 33850 Léognan
www.chateauleognan.fr
パリの美食が楽しめるレストランと
ステンドグラスのある教会
医療器具を販売していたワイン好きのミカーズ夫妻が、次の人生に選んだのはシャトーのオーナー業。廃屋だったシャトー・レオニャンを買い上げてコツコツと修復し、現在に至る。
畑はもともとドメーヌ・ド・シュヴァリエにブドウを渡していた小作の所有地で、品質は保証済み。しかし彼らはワイン造りにとどまらず、民宿やレストランの運営にも力を注ぐ。
夫妻が「ペサック・レオニャンのショーケースであってほしい」と願うレストラン「ル・マネージュ」は、近隣のワインを一通り揃えてセラー価格で提供している。料理はパリ「ジョルジュ・サンク」でも活躍した女性シェフ、フローラ・ミクラさんの監修。各シャトーの関係者が接待で使用するのにうってつけだが、夏はツーリストからの予約ですぐに席が埋まってしまい、冬にようやく地元の人で賑わうのだとか。
所有地内の奥に位置する教会も見応えがある。塔が崩れ落ち、ステンドグラスはボロボロだったのを、19世紀当時の姿に完全復刻。ただし、教会として長年機能していないと、教会の権利ははく奪されるのが常。オーナー夫妻の次女がここで正式な結婚式を挙げたがったが、教会の再認可は厳しい。
そこで、ダメもとで調べてみたところ、あまりにマイナー過ぎて(?)権利はく奪すら忘れさられていた現役の教会であることが判明、次女の挙式は無事に執り行われたとか。ペサック・レオニャン全体の興隆を願う志の高い夫妻へ、天からの粋なギフトが秘められていた教会なのだ。
パリ出身のオーナー、フィリップさんとシャンタルさんは「森も湖もあり、観光に最適」とアピール。教会は、19世紀当時のステンドグラスの制作図面が職人の手元に偶然残っていたことも復刻の後押しになった。また教会の床タイルには、平和の象徴である鳩が聖杯を酌み交わす図が。フィリップさんの案で、これがそのままワインラベルに転用されている。
以下、後編につづく