トーマス・ジェファーソンの魂を受け継ぐ
「バージニアこそ、アメリカのワイン造りの出発点だ」
バージニア州でワインを造る人は、そういうのだ。なぜなら、バージニア州のワイン造りの精神的始祖は、第3代大統領、トーマス・ジェファーソンであり、いまもその精神を受け継いでいると自負するから。
バージニアには現在、7つのAVAがあって、そのなかで東にあるモンティチェロは、世界遺産でもあるトーマス・ジェファーソンの邸宅の名にあやかってその名がついたAVA。1770年代、この地域でジェファーソンがイタリアのワインメーカーに出資して、地元のブドウでワイン造りをおこなったのがバージニアワインの原点だという。
直後のアメリカ独立にまつわる乱世の影響で、ジェファーソンのワイン造りは成果を出さなかったけれど、アメリカ独立後、在仏公使となると、ますますワイン熱も高まり、フランスのみならずヨーロッパのワイン産地を巡った。そして、アメリカがフランスに負けないワインの産地になる、と公言し、ホームのモンティチェロにも広いブドウ畑を所有したという。
気候条件としては、春は霜の、夏は湿度の不安があるバージニアだけれど、ジェファーソンが注目したのは、赤粘土にロームそして玄武岩や片岩がまざる火山性の土壌。
土地を知り、技を磨き、受け継がれたバージニアのワイン造り。花開いたのはカリフォルニア同様、1970年代。現在、栽培総面積は約3,000エーカー(1,214ヘクタール)。280のワイナリーがある。評価は高く、ホワイトハウスでも飲まれている。
ところがバージニア人はジェファーソン流元祖アメリカンワインへの愛が深く、これを州外に出すことには消極的だった。あるときみつかったジェファーソンの遺言から、ジェファーソンがバージニアワインを国外にまで広めたかったことが判明するまでは……
こうして門戸開放となったアメリカ秘蔵のワイン。日本でその先陣をきるのが「トランプワイナリー」だ。家族経営で小規模なワイナリーが多いなか、1,300エーカー(526ha)もの土地を保有するこのワイナリーは、2011年に、あの、ドナルド・トランプがクルージ・ヴィンヤード&エステートというワイナリーをそっくり買収することで成立したもの。
とはいえ、ジェファーソンのモンティチェロにも隣接するこちらは、バージニアの自然と歴史に敬意を表し、サスティナブルなワイン造り、収穫、除梗、選果は手作業でおこなうなど、繊細にして伝統的なスタイルを特徴としているからご安心を。
赤は骨格のしっかりしたボルドースタイル、白はさわやかなシャルドネが、シャンパーニュ方式のスパークリング「ブラン・ド・ブラン」とともに特に評価が高い。
トランプ氏の名声と高い品質から、アメリカではすでに入手困難なトランプワイン。WINE WHAT online shopでは限定販売中だ!