こちらの村は1600人ほどの村で、ワイナリーが3軒ほどあるようだ。
LOEWさんは、ストラスブールのクリスマスマーケットでも単独で出店しているワイナリーで、毎年クリスマスマーケットの時期にもテイステイングさせてもらっている。
他にも団体でクリスマスマーケットに出店しているワイナリーはあるのだが、ローテーションで出店しているので、毎回ワインを買えるわけではない。LOEWさんだけは単独出店しているので、ストラスブールでのクリスマスマーケットで毎年必ずワインを買うことができる。
こちらがワイナリー。外出禁止令が解かれたとは言え、いろいろ規定もあるため、ワイナリーの中に入らなくてもワインが買えるように、表に『ドライブスルー』と書かれた看板が出されていた。門の中に入ると、そこでワインが飲めるようにも工夫されていた。
こちらがテイステイングルーム。かなり綺麗でおしゃれな内装だ。
Domaine LOEWのワインの始まり
14Haのぶどう畑を所有し、15000~18000本のワイン生産しているLOEWさんは、元々はぶどう生産のみで、そのぶどうを共同ワイナリーに卸していた。しかし、1996年、今の当主であるEtienneさんが23歳の時にワイナリーを継ぎ、せっかく美味しいぶどうを作っているのに、共同ワイナリーに卸して他のぶどうと一緒になってしまうことを残念に思い、ワイン生産を始めたそうだ。
「自分で全部管理できる大きさ」の畑は、ていねいにビオディナミのぶどうを育てており、ほぼ全て奥様と二人で運営している。
最初は、学校でワインのテイステイングや生産を教えながら、奥様と一緒にぶどう畑とワイン生産を始め、その二足の草鞋はしばらく続いた。ワイナリーとして経営が成り立ち、仕事をワイナリ一本にしたのは10年後だったそうだ。
ていねいに、繊細に作られた彼のワインは、アラン・デュカスのレストランにも入っており、そこから日本のインポーターさんがLOEWさんのワインに出会ったそうだ。
3種の異なるリューデイーのリースリングのテイステイング
まずはこちら、3種の異なるリューデイー。テロワールが異なるリースリングはそれぞれ異なる味わいだった。アルザスは品種によって味が異なるのが特徴だが、実は品種だけではなく、テロワールを重んじるワイナリーも多く、51種のグランクリュの他にも多くのリューデイーが存在している。
そのため、リュ―デイーの名前が書いてあるアルザスワインも多い。現在そんなリュ―デイーをプルミエクリュへの格上げ申請中だが、そんな話を数年前から聞いているので、実際それが承認されるまでにはかなりの時間を要するようだ。
まずはリースリング BRUDERBACH。BRUDは兄弟と言う意味がある。ラベルにもフランス語の訳であるCLOS DES FRERES(兄弟の塀に囲まれた小さなブドウ畑)も明記されている。この村の土壌でもあり、柑橘系の酸味の強く、フルーティーなリースリングに仕上がっている。Etienneさんによると魚介類などに合わせると良いとのこと。
そしてリースリングSUESSENBERG。こちらは2018年もので、この年は暑く、太陽の光を浴びたぶどうは甘口のものが多く、そこに酸味と、どちらかというと、アーモンドやナッツ系の味がし、酸味は後から感じられる、そんなワインに仕上がっていた。
リースリングOSTENBERGの2018年もの。フルーテイさが柑橘類よりもパイナップルのようなトロピカル系の香りで、酸味もあり、お刺身にはこちらを合わせると良いので、この3つのリースリングの中で一番日本食に合うかも、とのこと。
こうして土壌とワインを並べてみると、その土壌の違いが目に見えて分かると思う。この土壌がワインの味をさらに奥深いものにしてくれる。3種のリースリング、どれが美味しいと言うよりはこれは好みの問題で好きなワインが分かれると思う。
LOEWさんの【カラフル】自然派ワイン3種
そして、こちらの三種。白ワインがメインのアルザスだが、オレンジ色のオレンジワイン、ピンク色をした、通常とは異なるシルヴァネールの品種違いワイン、そしてアルザス唯一の赤ワイン品種、ピノ・ノワール。色合いも味わいも、フルーティで綺麗で女性的な3本。
OMAGYはLOEWさんの新作ワイン。赤ワインの生産と同様、10日間のマセラシオンで作るオレンジワインだ。OMAGYはORANGE、MACERATION(土壌)、MARENES、GEWURTRAMIER、GYPSE(土壌)の略。なので、こちらはゲヴェルツラミネールのオレンジワインだ。ゲヴェルツラミネールの名のごとく(香辛料の意味がある)、香辛料の香りとほんのり苦味のある、自然派ワイン初心者にピッタリのワインとしてお勧め。
Premières vendanges de MargueriteのMargueriteはEtienneのお嬢さんの名前。そして、ロゴをよく見ると、その品種が分かるようになっている。こちら、品種の異なるシルヴァネール ルージュ。ロゼとも色が違う、ピンクの色が綺麗な、チェリーのような香りと酸味を感じるワイン。タルトやバーベキューなどに合うそうだ。
そして、Pinot Noir。Westhoffen村の名前が付いている、ピノ・ノワールだ。こちらもほんのりチェリーのような香りがするフルーティなワイン。
どこの村に行っても思うのだが、皆、地元愛が強く、こんな風にワインに村の名前を入れたいと願うワイナリーも少なくない。どの村も、その土地ならではの土壌もあり、Etienneさんもそんな想いを持つ一人なのだろうと思う。
こちらのワイナリーのワインは日本に入っている。しかし、インポーターさんは通常BtoBでの販売のみなので、店舗でボトルでの購入はできないようなのだが、お店でなら日本でも飲める。
このカラフルな自然派ワイン3種全てが日本に入っているか私には分からないが、ピノ・ノワールは入っているそうだ。外出自粛の時期は、インポーターさんもこのLOEWさんワインセットを個人のお客様にもサイトから販売していたので、時期によってはボトルでの購入が可能かもしれない。
このオレンジワインは新商品のはずなので、今後日本に入る可能性はあるので、もしLOEWさんのワインをどこかで見かけたら、ぜひ飲んでみて欲しい1本だ。