今年2019年のストラスブールのクリスマスマーケットは11月22日~12月30日まで、(場所によっては12月24日まで)開催されている。街中がクリスマス一色になり、ストラスブール市内の各広場でクリスマスマーケットが開催されるが、その中のOFFと呼ばれる場所で、1日限りの5若手ワイナリーによるヴァンナチュール試飲会があったので行ってきた。
5若手ワイナリーという事で、全参加ワイナリーをこの機会にご紹介できればと思う。
実はこの試飲会イベントはこのクリスマスマーケットのOFF内に常設しているアルザスワイナリーYann Durrmannの小屋があり、彼が主催してこの自然派ワイン試飲会を開催したそうだ。
また、ワインの紹介が各社から4本までと決まっていたようで、テイステイング可能なワインは全20本。ある意味全ワインを試して、しっかり味や特徴を理解するには良い本数だと思った。
イベントはこのドームの中の一角で開催された。
規模も小さく、あまり広告もなく、私もこちらのイベントはFACEBOOKで見つけた。あまり広告を出していないせいか、こじんまりとした、良いイベントだった。
最近はアルザスでも自然派ワインの試飲会イベントも多く開催されている。アルザスは特にビオ、ビオデイナミ、自然派ワインの生産が盛んなイメージだ。特に最近の若手のワイナリーさんは、そう言った地球に優しいワイン生産を意識している方が増えてきた気がする。
今回の出展ワイナリーは日本に入っているワイナリー3社、日本に入っていないワイナリー2社だった。また、その中でも日本に入り始めたばかりのところが2社だったので、まだあまり見かけないアルザス自然派ワインかもしれない。
どこのワインも美味しいが、私は個人的に日本未入荷ワインの方が美味しいのではないかと思うワインもあった。こちらのワイナリーの方が美味しい、というのではなくて、このワイナリーさんのこちらのワインが美味しいな、この品種ならこちらのワイナリーが美味しいな、という感じだった。
私はただのアルザス在住者なので、日本のワイン事情など知らないことも多い。日本からのインポーターさんは、どうやってアルザスワイン生産者を見つけ、決めて行くんだろう? と思ったりもした。
今回参加されていたワイナリーさんたちに聞いた所によると、パリなどのワイン関係の仕事をされている日本の企業が、日本のインポーターさんに紹介するケースや、ワインの展示会などでインポーターさんに会って、輸出が始まったというケースがあるらしい。
このあたりもアルザス在住者として気になる点の一つだ。
最近の若い生産者は結構自然派ワイン生産をしているワイナリーも多い。日本では自然派ワインも流行っているようなので、ぜひこの機会にもっと日本に入ってくれればと思う。
それでは各参加ワイナリーさんを紹介していこう。
Domaine Fishbach
以前からのワイン生産をしていたが、跡継ぎ問題などで、一度ワイン生産を辞めて、今代のJeanさんので新たにワイン生産を始めたワイナリー。Jeanさんの代から自然派ワイン生産をしている。今年から日本に入り出すとのこと。
私はこのミュスカが、ぶどうの香りが良くて好きだった。
そして、こちらがゲヴェルツトラミネールのマセラシオン、所謂オレンジワイン。
お値段的にも自然派ワインにしたらなんともお手頃価格で、お勧めだ(日本での小売り価格は分からないのだが、アルザスでは以外とお買い得な値段だった)。こちらのワイナリーは、クリスマスマーケットの他の小屋でも、ローテンションで販売していることがあるので、その時にも運が良ければ買えるワイン。
Schaeffer Woerly
こちらは日本に入っていないワイナリー。実は以前ワイナリーに行ったことがあるが、以前観光案内所でお薦めしてもらったワイナリーだった。
親御さんの代までは自然派ワインではないワインを生産しており、今の息子さんの代で、自然派ワインの生産を始めたようだ。お伺いした時に、最初お父様が対応してくれて、通常のワインをテイステイングさせてもらっていたのだが、途中で息子さんが案内してくれて、自然派ワインをテイステイングさせてもらった。
また、こちらのワイナリーの自然派ワインは、ラベルが可愛いものが多く、ラベル買いしそう。
泡系が2種あって、これは微炭酸で、日本の泡ワイン好きの方にはおススメ。
1本目のUNIOはオクセロワとシルヴァネールのアッサンブラージュ(混種)の泡系ワイン。
3本目はオクセロワの泡系ワイン。
どちらもクレマンダルザスとはちょっと違うらしく、微炭酸で飲みやすいのでお勧めだ。日本にはまだ入っていないのが残念。
Lissner
こちらも日本に入っていないワイナリー。以前他の自然派ワインのイベントでお会いしたことがあるのだが、その時のイメージとしては自然派というより野性的というイメージもあった。
まだ、ワイナリーにはお伺いできていないのだが、個人的に土壌について地理学的に説明してくれるので、野性的なのにとても理系なワイナリーと言うイメージがある。近いうちにぜひ一度訪れたいワイナリーの1つ。
こちらのワイナリーの4本のワインは、全て土壌も一緒に紹介してくれたので、とても興味深かった。
こちらの村の名前のついた、村の土壌のリースリング。
そしてこちらがリュデイーと呼ばれる土壌のリースリング。
こういう風に、同じセパージュで、土壌違いのワインを飲むのも、面白い。
アルザスワインは通常セパージュ表記をされ、単種によるアルザスワインが多いが、最近は土壌の重要性をうたうワイナリーも多くなってきている。特に若いワイン生産者さんはセパージュではなく、土壌の大切さ、土壌による味の違いをとても大切にしているイメージだ。
これはグランクリュに限らず、リユーデイーと言われる土壌など、こちらも最近はプルミエクリュにしようという動きがあるが、なかなか時間がかかっているようだ。
こうして2種の土壌を比べてみてみると、色も質も異なることがうかがえる。こう言った土壌の違いが、ワインの味にも大きく影響してくるのだ。
Erick Kamm
日本にも既に前から輸入されているERICK KAMMさん。
こちらはグランクリュの自然派ワインもあった。4本目は所謂オレンジワイン。やはりオレンジワインも最近日本でも流行ってきている印象だ。
Yann Durrmann
こちらも最近日本に入り始めた自然派ワイン。
各ワインごとの土壌が前に置かれていて、その違いを目で見ることができた。
一番左のワインはゲヴェルツラミネール。日本にも輸入されているようだが、2018年ものは数の関係で、日本に入らないかもしれないのだそう。
このワインが一番お勧めだと思ったので、残念…。
こちらのワイナリーはストラスブールのOFFという名前のクリスマスマーケット内で常設の小屋でワイン販売をしているので、是非このクリスマスマーケットに来られる方は、こちらのワイナリーのワインもぜひお試しいただければと思う。
さらにお勧めなのが、このワイナリーのワインを使ったアルザス白ワインのヴァンショー。ミラベルのジャム入りだそうで、自然派ワインのヴァンショーは他にはないので、ストラスブールにこの時期に来られる方にはそちらもお勧めだ。
アルザスワインはワイナリーに行かないと飲めないものも多いが、こういうイベントで飲める機会もあり、ワイナリーさんとも話ができるので、少しでも多くのアルザスワイナリーのワインを飲んでいき、ご紹介していければと思う。