日本ではアルザスワインの認知度もまだまだな気がするが、アルザスワインは日本食にも合うと言われている。けれど、アルザスの人にとって、日本食と言えばお寿司や天ぷらを想像するようで、お勧めされるのは、シルヴァネールやリースリングだ。
そんなアルザスワインはセパージュ(品種)によって味に特徴があり、それだけではなく、アルザスには900ほどのワイナリーがあると言われ、各ワイナリーでも味が変わる。
最近では自然派ワインも多く生産され、日本にも比較的アルザスの自然派ワインは人気があるようだが、実は自然派ワインは典型的なアルザスワインとはちょっと違う味がする。最近自然派ワインのテイステイングイベントにもいくつか足を運んでみたが、ワイナリーの方々も自然派ワインとアルザスワインは違うという認識だ。ということで、今回は自然派ワインではなく、典型的なアルザスワインとカレーをご紹介したい。
アルザスワインの品種
アルザスワインの特徴でもあるのだが、アルザスワインは品種によって味が異なる。
7種のAOCアルザスワイン品種が存在し、辛口から:白ワイン用のピノブラン、シルヴァネール、ミュスカ、リースリング、ゲヴェルツトラミネール、ピノ・グリ、そして、赤ワイン用のピノ・ノワールが主な品種だ。
アルザスの甘口ワイン ゲヴェルツトラミネール
通常は辛口ワインとして知られているワインだが、その中でも甘口で、アペリテイフやフォアグラに合わせるといいと言われているアルザスワインのゲヴェルツトラミネールなどもある。
このワインはトラミネール・ロゼとして、アルザスでとても古くから知られていた品種。ゲヴルツトラミネールとは、ドイツ語で「香辛料」を意味する。そのくらい香りに特徴があるワインだ。
白ワイン用の品種だが、実はぶどうの皮は赤い。外観は強烈な色調で、やや黄金色がかった黄色で、そのぶどうの赤い色がワインに影響している。
ゲヴルツトラミネールの特徴
ゲベルツトラミネールは、豊かな香りが特徴的なワインだ。フルーテイなトロピカルフルーツ系(ライチ、パッションフルーツ、パイナップル、マンゴーなど)の香りと、フローラル(バラ)の香りがする。
そして、名前の通り、スパイス(パン・デピス、ペパーミント、丁子、コショウ)の香りもする。特に辛口に仕上げているワイナリーのゲヴェルツラミネールには、このスパイス系の香りを強く感じる。さらに、ハチミツや熟した果実の香りも。
味わいはコクがあり、しっかりしたワインで、厚みがある。そのため爽やかさは、他のアルザスワインに比べるとと控えめである。
ゲヴェルツトラミネールに合わせる食事
ユニークで、実はアルザスワインの典型のイメージのあるゲヴルツトラミネールは、通常アルザスではアペリテイフ、アルザス産で有名なマンステールという匂いの強いウオッシュタイプのチーズ、フォワグラや、香りの強いスパイシー料理に合うと言われている。さらに、タイ、インドなどのアジア料理やエスニック系の料理とも合うと言われているので、味の濃い辛めの日本食とも合う。
カレーにも合うんじゃないか? ゲヴェルツトラミネール
エスニックやスパイシーな料理に合うのであれば、日本風のカレーとも相性もいいのではないかと思うのだ。インドの辛口カレーも、ラッシーを飲んで辛さを抑えるのだから、アルザスの甘口ワイン、ゲヴェルツトラミネールと合わせるのはアリだろう。ラッシーにはマンゴー味やバラ味なども存在する。そういう意味でもゲベルツトラミネールとカレーを合わせてみたいと考えた。
という事で試してみた。
今回は家にあったアルザスワインを合わせたが、これは日本には入っていない。
Schneider jean-marc のゲヴェルツトラミネールtentation 2015年と、ANDRE TOMASのゲヴェルツトラミネール 2018を用意。
Schneider jean-marcのゲヴェルツトラミネールtentation 2015年
このワイナリーのゲヴェルツトラミネールは、通常のゲヴェルツトラミネールではなく、TENTATIONと言ってちょっと格が上のワインだ。そのせいか、どちらかと言うと、ライチよりもバラのフローラル系の香りが強く、瓶を開けた時の香りが上品ですごく良かった。また、2015年は当たり年で、夏も暑かったため甘口に仕上がっている年でもある。甘さは良かったのだが、フローラルが強くて優雅なイメージもあり、家カレーにはちょっと上品過ぎるかもしれない。
美味しいのは美味しいのだが、同じカレーでも味が複雑なちょっと高級本格カレーに合うと思う。家で作る簡単カレーだと、エキゾチックなフルーテイさ、ライチの香りの強い甘口仕上げゲベルツトラミネールの方が合うかなという印象だった。
ANDRE TOMASのゲヴェルツトラミネール 2018
こちらはクラシックなゲヴェルツトラミネール。2018年は当たり年とも言われているので、どちらかというと甘口に仕上がっているのだが、ここのワイナリーのゲヴェルツトラミネールは、本来スパイシーでちょっと辛口。でもフルーテイな甘さもあり、カレーよりもちょっとスパイシーさは強いかもしれない。けれどカレーを邪魔することはなく、フルーティな甘さもカレーの辛さに合うんじゃないかと思う。
結論として
ゲヴェルツトラミネールのフルーティな甘さとカレーの辛さは、良い感じに合う気がするのだが、カレーはやっぱり庶民派の食事なので、同じ合わせるなら高級なゲヴェルツトラミネールよりも、スタンダードなゲヴェルツトラミネールが良いかもしれない。
カレーとゲヴェルツトラミネールのマリアージュは、以前友人と家で食事をしたときにも試してみたのだが、あくまでも私個人的な感想なので、読者ご自身でぜひお試ししてもらえればと思う。
他の辛口料理にも合わせられそうなので、せっかくなのでまた試してご紹介していきたい。