ヨーロッパにおける日本酒コンペティション2つの大賞が同日発表
日本酒イベント花盛り、日本酒ブーム再来!?と世間で言われてはいるものの、実際の生産量はここ数年横ばいで、相変わらず日本酒業界は厳しい状況下におかれています。
唯一、明るい話題と言えば、海外への輸出が順調で、右肩上がりを続けていること。
それを証明するように、イギリス・ロンドンで開催される世界的ワインコンペティション「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」では、2006年、新たに「SAKE部門」が確立され、
また、2017年からは、フランスで「Kura Master」が開催されています。
この2つの日本酒コンペですが、今年はなんと同じ日に、それぞれのTOPにあたる賞が発表されました!
IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)SAKE部門
IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)は、世界のワイン・ジャーナリズムをリードするロンドンで開催され、世界最大規模・最高権威に評価されるワインコンペティションです。SAKE部門は2007年に新設され、本年度は1500銘柄、ブラインド・テイスティングによる審査が行われました。本年度カテゴリーは下記の9つ。
●純米酒の部
●純米吟醸酒の部
●純米大吟醸酒の部
●本醸造酒の部
●吟醸酒の部
●大吟醸酒の部
●古酒の部
●スパークリングの部
●普通酒の部
各部門におけるメダル・トロフィー該当銘柄については5月に発表され、7月9日、ロンドンにて、「SAKE部門」の最優秀賞である「チャンピオン・サケ」、並びに部門を超え優れたコストパフォーマンスを発揮した「グレートバリュー・アワード」の受賞銘柄が発表されました。また、「SAKE部門」において、1社から複数エントリーされたお酒の全てにわたって高評価を得たメーカーが、「SAKE BREWER OF THE YEAR」として表彰されました!
グレートバリュー・アワード:「菊正宗 しぼりたてギンパック」
菊正宗酒造株式会社/兵庫県
SAKE BREWER OF THE YEAR 2019:平和酒造株式会社 /和歌山県
詳細:酒SAMURAI公式サイト
http://www.sakesamurai.jp/index.html
Kura Master
Kura Masterは、フランス人によるフランス人のためのフランスの地で行われる日本酒コンククールで、2017年から開催されています。
審査員は、フランス人中心のヨーロッパの方々で、ソムリエ、アルコール飲料のスペシャリスト、レストランや専門店の経営者、シェフ、料理学校など、飲食業界で勤務されている方を対象とし、本年度は720銘柄が、ワイングラスでテイスティングが行われました。
お酒単体ではなく、食事とのペアリングにも重きを置いて審査されているのが特徴的です。
本年度カテゴリーは以下の4つ。
●純米大吟醸酒部門(精米歩合50%以下)
●純米酒部門(精米歩合50%超)
●スパークリング Standard部門(アルコール度数10度以上)
●スパークリング Soft部門(アルコール度数は10度未満)
各部門における「金賞」「プラチナ賞」は6月に発表され、7月9日、パリにて、本年度総出品数 720 銘柄から選ばれた最高賞「プレジデント賞」と、 4つのカテゴリーそれぞれのトップ5、又はトップ2より選出された「Kura Master 審査員賞」が発表されました。
●Kura Master 審査員賞
純米大吟醸酒部門:「櫻正宗 金稀 純米大吟醸四〇」
櫻正宗株式会社/兵庫県
純米酒部門:「臥龍梅 純米吟醸 山田錦」
三和酒造株式会社/静岡県
サケ スパークリング ソフト部門(アルコール度数10度未満):「吉乃川 酒蔵の淡雪」
吉乃川株式会社/新潟県
サケ スパークリング スタンダード部門(アルコール度数10度以上):「スパークリング酒 好」
土佐酒造株式会社/高知県
詳細は:Kura Master公式サイト
https://kuramaster.com/ja/
なんとなんと!
IWC2019 SAKE部門の最高賞「チャンピオン・サケ」を受賞したのも、Kura Master2019の最高賞「プレジデント賞」を受賞したのも、同じ蔵元・勝山酒造(宮城県)のお酒でした!!
同じ日に、ヨーロッパで、ダブルで頂点を極めるなんて、ものすごい快挙ですね。
ロンドンでは社長ご夫妻が、パリではご令嬢が、栄えある頂点の証を、それぞれ受け取られていました。
仙台伊澤家勝山酒造
ヨーロッパの人にこんなにも受け入れられ、愛される仙台伊澤家勝山酒造とは、いったいどんなお蔵で、どんな特徴のお酒なのでしょうか?
勝山酒造公式サイト https://www.katsu-yama.com/
勝山は、元禄年間に伊達政宗公を藩祖とする伊達家六十二万石の城下町仙台にて創業して以来、320年以上の間、仙台を代表する銘酒醸造元であり宮城県で現存する唯一の伊達家御用蔵として酒屋の技術的模範と御用蔵の暖簾を守っている酒蔵です。
実は私、授賞式の数日前、7月5日に開催されたイベント、「宮城の純米酒 七夕の宴」に参加し、伊澤社長にじっくりお話を伺っていたのです。
宮城の純米酒 七夕の宴にて、筆者
同イベントにて、自社のお酒について語ってくれた伊澤社長
「酒本来の美味しさだけでなく、透明感のある旨みの表現を目指しています。」
「ぜひぜひ、お酒に詳しい人には全種類のんでいってもらいたい!」
と、おっしゃって頂き。
23蔵も出展されているこのイベントで、1つのブースずつ、お話を伺いながら全てのラインナップをテイスティングすることは難しく、吟味しながら廻っていたのですが、伊澤社長の話術と酒造りにかけるアツい想いに惹かれ、結局、勝山酒造の全てのお酒を試飲させて頂きました。
そしてーー
「『勝山 純米大吟醸 伝』は、この日のお料理の中では、『宮城産鶏もも肉とパプリカのピペラード』とのペアリングがオススメ!」
とのことで試してみると、甘み、旨み、酸味、オリーブオイルの塩味。全てを包み込むような、熟した果実様の香りがする伝は、ワイングラスでのテイスティングだったので特に、味わいだけでなく、香りもしっかりととらえることができ抜群でした。
このお酒はもちろん、他の受賞酒においても、繊細な香味と世界中のお料理と合わせられる懐の深さが、海外でも日本酒ファンを増やし続けているのでしょうね。
世界のワインファンを、日本酒の世界に引き込める、そんなパワーを改めて感じました。
これからも、どんなお酒が海外の方に受け入れられるのか、目が離せません!