アルザスビオデイナミのワイナリー Domaine Léon HEITZMANN
ワイン漫画、「神の雫」にも登場したアルザスワインmanekineko(マネキネコ)という名のクレマンダルザスがあるワイナリー、Domaine Léon HEITZMANN。ここのワイナリーさんはビオディナミのワインや自然派ワインを作っている。個人的にビオデイナミワインに関してまだ知らないこともあり、こちらのワイナリーさんで製法などいろいろ話を聞いて来た。
Léonさんのワイナリーは、現在息子さんとお嬢さんが跡を継ぎ、お兄さんが生産を担当、元弁護士の可愛らしい妹さんがマーケティングを担当している。ワイナリーの跡継ぎに関して、ワイン生産だけではなく、マーケティング分野の仕事もできるから、跡を継いだと言っていた。兄弟で役割分担をし、最近はこういう形で跡を継ぎ、ワイン生産だけじゃなく、多種多様な仕事がある。今回は妹さんのLAURENCEさんがワインカーヴを案内してくれた。
自然派ワインと聞くと、製法が昔ながらで、木樽で作っているイメージもあったが、ここのワイナリーではステンレスを使っていた。LAURENCEさんによると、清潔さや管理を考えると、ステンレスの方が洗浄も簡単で、また、温度コントロールなども容易にでき、ワインが作りやすいという。特に白ワインは、ステンレスの方が香りが「ストレート」に出て、その香りをきちんと残し、酸味も失わないようにできるとのことだった。ただし、赤ワインの香に関しては木樽の方が良いそうで、ピノノワールは木樽で生産しているようだ。このワイナリーは、自然に従うビオデイナミ製法を採用しているが、新しい技術は積極的に取り入れている印象を持った。
ビオデイナミ製法は、簡単に言えば「環境と人に優しい製法」。化学肥料を使わないというのがビオだが、ビオデイナミはさらに「その先」を行く。ぶどう、ワインを「生き物」と見なしているため、ぶどうが「病気」になっても、なるべくそれに従い、「見守っていく」ような製法だそう。肥料はハーブなどを使い,そして月の動きなどに従って収穫などをしていく。大事なのはぶどうそのもので、ぶどう作りの段階が異なるということのようだ。ぶどうも成長するので、それに合わせないといけない。要はぶどうの生産が大事なのだ。
有名クレマンダルザス、マネキネコ、実は「お引越し」していた
こちらのワイナリーでは、日本でもマンガ「神の雫」に出ていたマネキネコというクレマンダルザス、スパークリングワインが生産されている。しかし、そこには跡継ぎ問題が関係している。
マネキネコの生産者を日本のインポーターさんのサイトで調べるとVignoble Klurと表記されている。そして、このマネキネコだけではなく、いくつかネコのラベルのワインが存在するのだが、それはこの村の名前に由来する。インポーターさんのサイトによると、「私たちが代々住んできた、この「カッツェンタル」(=猫峡谷)という村をアピールできないかと考え、ラベルに猫を採用することにしました」。黒いラベルの方が「優しいにゃんこ」、白いラベルの方が「不良のにゃんこ」という意味のワインだ。
(引用 http://www.nouvellesselections.com/winery/detail.php?post_id=1000554)
しかしながら、2017年にぶどう畑栽培とワインツーリズムに焦点を置き、このマネキネコを含めたワインの販売をこちらのLEAN HEITMENに託したそうだ。
垣間見える後継者問題
もちろん、どちらのワイナリーもご近所で、同じビオデイナミワイン生産者。実はLéonさんも2019年6月に公にはリタイヤとなり、もし息子さんとお嬢さんが継がないことになっていたら、LEONさんの代で終わっていたかもしれないと言っていた。もちろん、この先もぶどう畑でお仕事は続けていくそうだ。
こういったところに、後継者問題が垣間見え、ワイン生産をしていたところが、ぶどう生産だけになったり、その横で新しいワイナリーが誕生したり、このDomaine Léon HEITZMANNのある村も昔は50ほどあったワイナリーが、今ではワイン生産をしているワイナリーは30になってしまったと言う。
エノツーリズム、ワインツーリズムにも力を入れているワイナリー
さらに、このワイナリーさんはワイン生産だけではなく、エノツーリズムと呼ばれるワインツーリズムへの参加も積極的に行なっており、観光客の受け入れもしっかりしている。人数にもよるが、ワインカーヴでワインと一緒に食事をしたりすることもできる。
最近ではワイナリーの扉を叩いて、ワイナリーを訪れる人も減っていると言う。けれどこうしたワインツーリズムなどと協力して、ワイナリーに人を呼び、ワインを知ってもらうというのは一つのマーケテイングとも言える。
また、こうして観光とワインを結ぶことにより、ワイン好きな方だけではなく、普通の観光と合わせることにより、多くの方にワインを知って頂く機会にもなるだろう。日本にも入っているこちらのビオデイナミのワイン、機会があればぜひお試しを。