自然派ワイン Christian Binner
先日、日本でも有名なアルザスの自然派ワイン Christian Binner へ行って来た。
実はこの日、ある村でのワイナリー巡りをしていたのだが、実はそれぞれのワインのカテゴリーについてまだ知らないことが多かったこともあり、スタンダード(?)で環境に優しいワイナリー、ビオワイナリー、ビオデイナミワイナリー、自然派ワイナリーについての理解を深めるために、それぞれのワイナリーに行ってきた。
BINNERさんは日本でも有名な自然派ワイナリーなのでご存じの方も多いと思う。
ワインの生産方法は、どれが良いとか、悪いとかではなく、それぞれの想いがあり、それぞれの味と造り方がある。なので生産者の方から話を聞き、こうして比較する事はなかなかない機会だった。
私は自然派ワインとは、ほったらかして、自然に任せて造るという簡単な認識をしていたが、今回の訪問で、それはある意味その通りで、でもある全く意味違うと言うことが分かった。今回の訪問は本当に有意義なものだった。
要はぶどう次第なのだ。日本酒は米そのものがあまり関係せず、製造方法で味が決まり、ある意味毎年同じ味を造る事ができる。けれどワインはぶどうそのものに委ねられるから、ぶどうの出来が大事なのだ。だからヴィンテージと言われる年が大事になる。
BINNERさんには博物館のように大きなカーヴがあった。結構最近建てられた建物のようで、ワイン生産のために作られたカーヴだそうだ。中を見せてもらってワイン生産のために、いろいろ考えられて作られたカーヴだと言うことが十分理解できた。
BINNERさんでは、お姉さんのBETATRICEさんが対応してくれた。
彼女曰く、よく「自然派」と言われるが、昔から同じワインの作り方をしていて、それが今では自然派と呼ばれるようになった、という事だった。
自然派ワインで一番大事なことはぶどう栽培で、いかに良いぶどうを造り、あとは自然の流れに任せて樽で寝かせ、果汁がワインになるまで様子を見ながら「寄り添って」行くんだそうだ。
彼女は説明してくれた時にワインに「寄り添う」と言う表現をしていた。
「子供の成長と同じ」だそうで、ぶどうも生きているし、その年によって、その品種によって異なり、それぞれに特徴がある。だからそれを理解し、それに人が合わせていかないといけない。その成長を見守る感じなんだと認識した。
さらに、「ワインだってアート」なので、ずっと同じものを作っていてもつまらない。創造性が大事なんだとお話されていた。ただただ毎年同じワインを作るのではなく、今年はこんなのを作ってみようかという新しいチャレンジも必要と言う事だ。
もちろん、いくつかテイステイングもさせて頂いた。
そして、このワイナリーで見つけたちょっと珍しいワイン SI ROSE。
ロゼなのだが、アルザスにはクレマン以外ではロゼは少ないイメージだ。品種的には白ワインと同じ、ということで、これは今日本でも話題のオレンジワインの一種なのだろうか?
この村は AMMERSCHWIR と言うのだが、その村で作られている CÔTE D’AMMERSCHWIR この村の名が付くアッサンブラージュはこの村の特徴的なワインでもある。せっかく村に来たら、村の名前が付いたワインもお勧めだ。
また、ここのワイナリーのもう一つの特徴は、歴史や畑などワインの説明がかなり細かく瓶の裏のラベルに書かれていること。ワインが独特だということが分かっているのだろう。これもお客様に対する小さな配慮だと思う。
色んな意味で、その想いというか哲学にちょっと驚かされたワイナリーさんだった。こういう想いで造るワインだからこそ、その想いがちゃんとワインにも現れるんだと思った。
ワインの生産方法や味そのものも大事だが、そこで仕事をする人の「想い」がもっと大事なんだと認識したワイナリー訪問だった。
自然派ワインは、今そう呼ばれているが、ここではずっとその方法で生産して来た。そういう意味ではシンプルにその想いを代々受け継いでいっているだけなんだろう。
マーケテイングに関して言えば、その辺りもしっかりしていて、お客をワイナリーで待っているだけの時代は終わり、村に篭っているだけじゃなく、外にも出ていかなければいけない時代でもあると話していた。現にこのワイナリーさんはヨーロッパ諸外国のイベントや見本市などにも参加している。
普段はあまり有名ワイナリーさんや日本に入っているワイナリーさんを訪れることは少ないのだが、素敵なワイナリーさんとお話ができて、良い時間を過ごすことができた。