しなの鉄道とは?
しなの鉄道は、軽井沢~篠ノ井間の「しなの鉄道線」と、長野~妙高高原間の「北しなの線」を運行している。どちらも北陸新幹線の並行在来線だった信越本線の区間である。
「しなの鉄道線」は北陸新幹線が長野行き新幹線として開業した1997年にJR東日本から継承。列車はJR東日本区間の篠ノ井~長野間に直通し、ほとんどの列車は長野駅発着である。もう1つの「北しなの線」は2015年の北陸新幹線金沢延伸開業時にJR東日本から継承。しなの鉄道線開業当初は、長距離客が新幹線に移乗したことなどにより経営は苦しく、2001年9月の中間決算では累積赤字が24億円以上になり、資本金23億円を上回る債務超過状態に陥った。(一部をwikipediaから参照)
しかし近年。新社長によるさまざまな戦略により、注目されている。2016年に、東京海上日動火災保険出身の玉木淳社長が就任し、鉄道ファンが集まる聖地にしたいと「115系の動く博物館計画」を実施。
しなの鉄道の保有車両は国鉄時代の1963年から製造されている115系電車であるが、現在は都心でほとんど見ることができない。JR東日本から譲受したときに同社のオリジナルカラーに塗装されたが、近年は国鉄時代の「湘南色」「横須賀色」などのリバイバル塗装を実施するなど、多くの鉄道ファンを喜ばせている。
観光列車「ろくもん」
筆者が乗車したのは、しなの鉄道が誇る観光列車「ろくもん」の「信州プレミアムワインプラン」。
ろくもんは、しなの鉄道が2014年7月11日から運行している観光列車。車両は列車デザインの第一人者、JR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」なども手掛けた水戸岡鋭治氏がデザインしている。
115系電車の内外装を長野県産の木材をふんだんに使ってリフォームしてあり、外観は真田幸村の「赤備え」をイメージした濃い赤に金色で「六文銭」「結び雁金」「州浜」の模様。
内装も水戸岡氏が得意とする難燃化木材を使って大幅に変更され、長野県産の床、椅子やテーブルなどに長野県産の木材を使った和モダンのしつらえ。使用されている長野県産の木材は、1号車はからまつ、2号車はすぎ、3号車はひのきで、とても温かみのある空間となっている。
とても電車の中とは思えないが、車窓からは信州の景色が愉しめて、美味しいものを頬張りながら居心地の良い動くレストランを楽しめるようになっている。
「ろくもん」というと、大河ドラマの「真田丸」でいちやく有名だが、想像通り列車愛称は沿線地域ゆかりの真田氏の家紋の「六文銭」にちなんで名付けられたとのこと。
いよいよ、発車!
軽井沢駅で乗車受付を済ませて、先ずは出発前のひとときをカフェで過ごす。コーヒーもしくは、りんごジュースの引換券を渡されていたので、信州産のりんごジュースにしてみた。素直に、美味しい!それから妖艶な赤褐色のろくもん電車の車体を眺めながら、これから始まる列車での小旅行に思いを膨らませてみる。車内に案内される前に、乗務員による出発の合図が法螺貝であったが、武士の出陣に見たてているのだろう。
筆者が乗車した、ろくもん3号「信州プレミアムワインプラン」の行程はこうだ。
軽井沢(17:14発)→中軽井沢→信濃追分→小諸→田中→上田→戸倉→屋代→長野(19:17着)
途中の上田駅では、しばらくホームに降りて赤い陣羽織を羽織っての記念撮影サービスがあった。田中駅ではちょっとした「おもてなし」もあったが、これは乗車してのお愉しみにしていただきたい。
待望!ワインとお食事のサービス。
列車が出発するとさっそく、その日のためにセレクトされたワインと豪華なお食事のサービスが始まる。この日の料理は、坂城町に新しく出来たばかりのワイナリーレストラン「Vino della Gatta SAKAKI」
から料理長の小出シェフが実際に乗車し、心を込めて作ってくださっていた。しなの鉄道沿線の銘店のなかから定期的に料理を担当するレストランは変わり、メニューが変わるので季節ごとに楽しみが広がる。
筆者が乗車した3号車は、障子で仕切れる個室になっているが閉めるとなかなかの圧迫間。でも仲の良いご夫婦やカップルは終始、障子を閉めて二人だけの世界を楽しまれておられるそうで、素敵だなと思えたが今回は一人旅なので開けておく。乗務員がさっそく最初のワイン「巨峰スパークリング」をグラスに注いでくれた。東御市のアルカンヴィーニュで造られたワイン。さすがに揺れが少しあるので、用意されていたのは足なしのグラスだった。ミネストローネスープ、メイン料理とワインブレッドといったワインに合わせたお料理をいただきながら、信濃追分、小諸を抜け列車は千曲川ワインバレーの原点である、東御(田中駅付近)を走っていく。
お料理とワインをいただきながら、乗務員の方にお話を伺った。しなの鉄道の活躍はつい最近、TBS番組「がっちりマンデー!!」で取り上げられたという。また、西村京太郎サスペンスドラマ「鉄道捜査官」にて、上田駅構内のトイレで男性の刺殺体が発見された際に、遺体のポケットから「観光列車ろくもん」のチケットが見つかったというストーリー展開だったそうで、なかなか愉快である。
(https://www.tv-asahi.co.jp/nwide/story/0010/)
2杯目の「リースニング」と3杯目の「Kasugaメルロー」は、坂城葡萄酒醸造株式会社から。新規開業したばかりのワイナリーで、今回のお料理はこちらの併設レストランからである。4杯目はヴィラデストワイナリーからの「ヴィニュロンズリザーブメルロー」だった。もの足りないときは、車内メニューから追加オーダーも可能なので安心だ。
デザートとして「栗のティラミス」と珈琲をいただくと、あと数分で長野駅に到着するというアナウンスが流れた。美味しく楽しい、あっという間の2時間だった。
ろくもんには乗車プランがいくつかあり、今回の信州プレミアムワインプラン以外にも「クルーズプラン」や信州の地酒が飲める「北信濃雪見酒プラン」などもあるので興味深い。長野県は日本でいちばん女性杜氏が多いらしい。乗客の年齢層は50代から70代が主流で、ワインプランの方は比較的に若めで、40代から50代が多いらしい。もっと幅広い年代の皆様にお愉しみいただければと思うが、地元ワイナリーを支えている、しなの鉄道をこれからも応援していきたい。
しなの鉄道 信州プレミアムワインプラン
ろくもん3号 軽井沢→長野コース
https://www.shinanorailway.co.jp/rokumon/plan/plan03/