マルケ州のワインって?
渡伊してから好きになった品種のひとつにマルケ州の白ワイン、ベルディッキオがあります。
その名の通り青草を感じさせる香りと、エネルギーを感じるミネラルと、ほろ苦さが魅力で、口にすると草原で深呼吸しているような清々しさを感じます。
収穫時期をずらすことにより、スプマンテから軽め白ワイン重めパッシートまで造られて七変化する品種です。
マルケ州は中部イタリアに位置し西側をアペニン山脈、東側をアドリア海に囲まれ南北に長く、海と山の幸に恵まれた緑あふれる場所です。
造り手との距離の近さが魅力のイベント
新緑の5月にマルケ州中部の街MACERATAでマルケ州の18のビオロジコとビオディナミコのワイナリーにとトスカーナ州とドイツからもゲストを迎えてワインイベントTERROIR MARCHEが開催されました。
造り手と直接語り合いながら飲める試飲ブースやマルケ州の郷土料理のブースもあり、こじんまりとしたなかにも熱気を感じます。
そんなに大きな会場ではないので、一人一人の造り手とじっくりむき合いながら試飲することができるのが、商業的なイベントと違うこのTERROIR MARCHEの魅力です。
造り手も自分のブースから飛び出して、他の造り手のワインを試飲して楽しんでいます。
本来ならばライバル同士の造り手が、お互いを称えながらワインを飲む姿を間近で見ることができて感激もひとしおでした。
このように同じ地域の生産者達が一堂に集まってプロモーション活動をするのは、造り手にとっても切磋琢磨できるいい機会であると同時に、参加者にとっては同じ品種のワインをを比較できる素晴らしい機会になると思います。
実は去年参加してこのアットホームかつ静かな情熱を感じる雰囲気が好きで今年も来たのでした。
マルケ州の造り手に関して共通して言えることは、一見控えめで穏やかだけど、内側には確固としたゆるぎない自信があるという点です。
昨年11月にいくつかのマルケ州のワイナリーを訪問したのでいずれ彼らのことも記事にしたいと思います。
試飲だけでなくセミナーも充実
このイベントはアカデミー的な側面もあり、専門家を招いての料理との組み合わせやビオディナミコの手法についてのセミナーもあります。
私はブラインドテイスティングのセミナーに参加しました。
8種類のマルケ州のワインをエチケットを隠した状態で試飲して、品種を当てるというものでしたが、つい先程会場で試飲したばかりのワインもあったというのに、見事全問僅差で不正解(Verdicchio di JesiとVerdicchio di Metalicaとか)してしまい、自分の味覚に自信がなくなりました。
まわりには品種はもちろん、収穫年やワイナリー名までピタリと正解するイタリア人もいて、彼らの知識には圧倒されました。
夜には外の会場でブルースライブも始まり、静かに夜は更けていきました。
トスカーナ州やピエモンテ州などと比較すると、観光的にもワイン的にも知名度が低いので、まだまだイタリア旅行の際に立ち寄る方も少ないのではないかと思いますが、イタリア旅行も2度目3度目ならマルケ州を次の目的地にしてみてはいかがでしょうか?
急ぎ足の観光旅行では見つけられない何かが、そこにきっとあるはずです。